公演情報

シアターRAKU 2025
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原作:W・シェイクスピア
台本:山元清多
演出/流山児祥
音楽/高橋牧(時々自動)
振付/北村真実(mami dance space)



 ご予約はこちら

2025/05/05 (月)〜17 (土)

@Space早稲田

 


■予約はお早めに



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==DVD発売中==


こちらから


『冥王星の使者』



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**********

 

 

作⦿高取英
(月蝕歌劇団)

脚本・演出協力⦿天野天街
(少年王者舘)

演出⦿流山児祥

音楽⦿巻上公一
(ヒカシュー)

人形製作⦿山田俊彦
(人形劇団ココン/ITOプロジェクト)
 

 

流山児★事務所
2023年度 新人募集
劇団で活動することに興味がある人を募集します。

【募集人員】
6名 (俳優・スタッフ・制作)
18歳以上35歳未満。
国籍不問。心身ともに健康な男女

【第一次審査:書類選考】
以下を流山児★事務所まで郵送してください。
(1)履歴書(連絡のつく電話番号とメールアドレスを記載のこと)
(2)写真1点(バストアップ)
(3)作文「流山児★事務所に入団してやりたいこと」(400字程度)


【第二次審査:実技・面接】
書類選考通過者のみ、連絡いたします。
※実技審査料3,000円は当日持参のこと。
※スタッフ・制作は面接のみ(無料)です。

【入団後の活動】
流山児★事務所の活動に準じていただきます。
優秀な新人は劇団公演、海外公演などに参加できます。

【お問合せ・応募先】
流山児★事務所 新人募集係
〒162-0045 東京都新宿区馬場下町60番地 まんしょん早稲田307
TEL:03-5272-1785(平日13時〜17時)
E-MAIL:mail@ryuzanji.com

情報詳細
CD/DVDを買う
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続々オールド・バンチ〜カルメン戦場に帰る〜 DVD
「オールド・バンチ〜復讐のヒットパレード!〜」「続々オールド・バンチ〜カルメン戦場に帰る〜」DVD発売中!
その他公演パンフレットなど
 ≫詳しくはこちら

【様々なる劇評そのL】

■巻上公一(ミュージシャン・ヒカシュー)
新宿に再び「冥王星の使者」を観にきた。だいぶ歌が上手くなってきた。自分が作曲した歌を聴くのは、なかなかいい。
ヒカシューのファンの人も、是非。くすんと笑えるところ数カ所。音楽のことよかったら、ポストして下さい

■ゆづき(弓月玲/末包愛)
急にアングラ劇が観たくなったので、折込チラシで見て気になってた流山児★事務所「冥王星の使者」を新宿スターフィールドで観劇。何の縁も知識も無く行っちゃったけど…大興奮!!
めちゃめちゃ面白かった!!!
たぎる何かをズドンと受け止めたい人はぜひ…明日のお席まだあるってアナウンスしてた

■筑波大学 人形劇団NEU
冥王星の使者、観劇してきました〜!ずっと圧倒されっぱなしでした。ストーリーも本当に素敵で! アングラってこういう感じなのか…、カッコイイ…、人形劇で表現したらどうするかな、などと考えていました。人形使いたちの乙女文楽の人形がそっくりで、袖から覗くシーンにクスッとしました。(カルメラ)

■山像かおり:秋乃桜子(女優・劇作家)
@新宿スターフィールド
#高取英 さん #天野天街 さん #流山児祥 さんの汁が混じり合ってもう最高!流山児★事務所の皆んなもやっぱり暴れてて惚れる♥️ ええなぁ暴れる演劇っ!時代小説を今よみまくってるからイロイロツボ!12/1まで 流山児さんの挨拶にホロリ😭

■鳥子@11/20〜22 クリエイターEXPO
流山児☆事務所さんの『冥王星の使者』見た見た✨
今回はメインキャラを全部女性が演じてて、宝塚っぽい麗しい倒錯感があると同時に、男性は男性でしっかり脇を固めているので結果的に男性と女性・そして板の上で性別を自在にスイッチする役者さんたちの魅力が伝わってすごい好きな感じだった……!

■shigeru
新宿スターフィールド 作 高取英 音楽 ヒカシュー巻上公一
疾走する舞台「冥王星の使者」楽しかった!

■田中美央
物凄い芝居を観ました。異世界転生?タイムリープ?何でもござれ!これぞアングラの底力!
流山児事務所の「冥王星の使者」を観劇して参りました。
俳優陣のエネルギーに圧倒される1時間45分。
目の前で爆発する仕掛け花火の様な芸術を、安全地帯である筈の観客席から観ていたのですが。。。帰り道、すっかり毒に犯されている自分がおりました。
あれだけ息のあったカオスは初めて見たかもしれません。まだ感動の渦中におります。
是非!残りの公演も怪我の無いよう頑張って下さい!
有難うございました。^_^

■バードランド
新宿三丁目から帰宅。流山児★事務所の創立40周年記念公演『冥王星の使者』(高取英作、流山児祥脚本・演出)を見る。高橋和巳の『邪宗門』を下敷きに、記紀歌謡と国造り神話、義経伝説、新宗教の弾圧事件、70年安保と学生運動など、時空を超えて重ね合わせていく。
かつてのアングラ演劇と異なるのは、俳優の身体性だ。いまの舞台はきれいで、洗練されており、余分なものまでが含まれている豊かさがある。かつては何もないなかで、身体だけが突出していた。人形遣いも3人登場し、登場人物は数奇な運命の糸に操られる人々ばかりである。
冒頭で登場人物たちひとりひとりが、暗闇のなか、一瞬だけマッチの火をつけて台詞を語る。束の間、いきなり光ったと思ったら消えている。歴史上の人物の人生も、宇宙の時間から見ると、そのようなものかもしれない。刹那の生が浮かびあがる。新宿スターフィールドにて12月1日まで。
満員爆走の14ステージを終え、愈々『冥王星の使者』
明日:12月1(日)14時千穐楽です!ふらりと、新宿二丁目までおいでください!

流山児★事務所が高取英・天野天街に捧げる40周年公演
「再演」の予定はありません ぜひ、見届けてください
「劇はいつも新しく同じ、力強さがまわりつづけ、虐げられしものたちが生きぬける」小さき者たちの声を聴け!

★2024年演劇ベスト!の呼び声高い衝撃の問題作、見逃すな!
@新宿スターフィールド
※上演時間1時間45分
※当日券は開演30分前より劇場受付にて販売します

◆高取英✖天野天街✖流山児祥✖巻上公一で創り上げる冥王星と海王星の軌道の交点に生まれる物語
【満員の12ステ終え、残り2日3ステです!】
流山児★事務所が高取英・天野天街に捧げる40周年公演
「再演」の予定はありません お見逃しなく!
「劇はいつも新しく同じ、力強さがまわりつづけ、虐げられしものたちが生きぬける」小さき者たちの声を聴け!
★2024年演劇界衝撃の問題作!
【残席状況】 
30(土)14時〇余裕 19時◎大余裕
12/1(日) 14時▲残僅少
。。。。。。。。。。。。。。。。。
12月1(日)まで絶賛上演中 ふらり新宿2丁目まで!!
@新宿スターフィールド
※上演時間1時間45分
※当日券は開演30分前より劇場受付にて販売します
◆高取英✖天野天街✖流山児祥✖巻上公一で創り上げる冥王星と海王星の軌道の交点に生まれる物語
【様々なる劇評そのK】
■山像かおり:秋乃桜子(女優・劇作家)
@新宿スターフィールド
#高取英 さん #天野天街 さん #流山児祥 さんの汁が混じり合ってもう最高!流山児★事務所の皆んなもやっぱり暴れてて惚れる♥️ ええなぁ暴れる演劇っ!時代小説を今よみまくってるからイロイロツボ!12/1まで 流山児さんの挨拶にホロリ😭

■バードランド
新宿三丁目から帰宅。流山児★事務所の創立40周年記念公演『冥王星の使者』(高取英作、流山児祥脚本・演出)を見る。高橋和巳の『邪宗門』を下敷きに、記紀歌謡と国造り神話、義経伝説、新宗教の弾圧事件、70年安保と学生運動など、時空を超えて重ね合わせていく。
かつてのアングラ演劇と異なるのは、俳優の身体性だ。いまの舞台はきれいで、洗練されており、余分なものまでが含まれている豊かさがある。かつては何もないなかで、身体だけが突出していた。人形遣いも3人登場し、登場人物は数奇な運命の糸に操られる人々ばかりである。
冒頭で登場人物たちひとりひとりが、暗闇のなか、一瞬だけマッチの火をつけて台詞を語る。束の間、いきなり光ったと思ったら消えている。歴史上の人物の人生も、宇宙の時間から見ると、そのようなものかもしれない。刹那の生が浮かびあがる。新宿スターフィールドにて12月1日まで。

■真弥優希
切なくて泣きました
初めて出演した「新撰組in1944」を思い出した。弱き者たちの声が聴こえる…!ラスト、冥王星…!凄い!高取さん!!流山児事務所と王者館と、色んな物を浴びました

■絵空箱 吉野翼
流山児☆事務所「冥王星の使者」
本当は高取さんの命日に行きたかったが…。
高取さん、流山児さん、天野天街さんの正に多重奏。
戯曲の確かな普遍性に、熱とカタルシスを詰め込んだ演出、奇術的アイデア、これこそ活人劇。
久しぶりに演劇を真に楽しめた作品だった。

■四方 咲子
流山児★事務所『 #冥王星の使者 』を観てきました!
アングラってこういうことなのですね!!すごく面白かったです!映像の迫力も、お話も、演出も、リズムも刺さりました!
観た後の帰り道、すれ違う人とどうやって戦うか考えるくらいにはアドレナリン出てた!踵落としする妄想が出るくらいにはエネルギー出てた!
舞台面白かった!

■阿部能丸
我が師匠高取英さんの御命日。高取さんが84年に書かれた『冥王星の使者』を天野天街さんが脚色した流山児⭐︎事務所の公演を観劇。
演出の流山児さん曰く高取さんと天野さんのいいとこ取りで演出されたとのこと。
84年の初演から更に面白く感じました。
笑えて感涙。
師匠の偉大さを再確認でした🙇

■おわんのぬくもり
流山児★事務所『冥王星の使者』から心が帰ってこれない...
猥雑に重ねられる惰眠、健啖、情欲の狭間にふと音がなくなり、全てが色を失う絶対的な瞬間がある。
肉は腐らず、炎もなく、血も怒りもない、零下二百度の氷の世界、純化された青い「かくめい」の幻燈が絶望的に美しかった......
こちらの稀代のアングラ音楽劇、新宿スターフィールドで12/1(日)までやってます。
あと4ステージしかなく再演もないそうなので駆け込める人は全員駆け込んだほうがいいです。巻上公一のサントラも死ぬほど良く、脳が痺れた。

■中野乃維 
流山児★事務所さんの「冥王星の使者」を観劇。
高取さんが40年前に書いた戯曲は現代にも通ずる部分多々あり。高取さんの席があった。劇場の中に高取さんがいる。
「アングラは死なない、死なせない。」というエネルギー、届きました

【様々なる劇評そのJ】

山田勝仁(演劇ジャーナリスト)これまた明晰、的確な長編劇評
〜見逃したら2024年の演劇は語れない〜

 新宿スターフィールドで上演中の流山児★事務所「冥王星の使者」(作=高取英、演出=アマノテンガイ・流山児祥)が抜群の面白さ。高取英の奇想ロマン(詩劇)と天野天街のポップでキッチュな演出を引き継いだ流山児祥の「緻密な剛腕」演出が見事に絡み合い、間然する所のない舞台が生まれた。「3人の良いとこ取り」だね。これ、見逃したら今年の演劇は語れないよ。

 物語は大正・昭和初期に二度に渡って行われた国家による出口王仁三郎の大本教の宗教弾圧をベースにしている。
 なぜ潰されるまで大弾圧されたのか。

 大本教は天皇の始祖・天照大神(アマテラスオオミカミ)より上位の神である国常立尊(クニノトコタチ)を重要視していたため「現人神」たる天皇の宗教的権威及び統治権の根拠を脅かしかねなかったのだ。

 それが舞台に出てくる「艮(うしとら)の金神(こんじん)」。国常立尊は強大な力を持っていたため、八百万の神々によって恐れられ、地上を追放され、艮(うしとら)の方角(北東)に隠棲せざるを得なくなってしまう。つまり権力にとっての「鬼門」。
 高取史観では国常立尊とスサノオを同一視している。つまり、どちらも「皇統」の逆賊であるということ。
 「冥王星の使者」は大本教をモデルにした「邪宗門」を書いた作家・高橋和巳(劇中では大主教。高橋芳彦=春はるか)を主人公に、義経伝説を絡めて時空間をワープする「革命劇」だ。

 義経をスサノオの系統、敵対する北条政子をアマテラス=現皇統の系統とみなして、ふたつの勢力の争闘から「窮民革命」へと飛翔させる。高取革命はタイムワープし、時代を超えて継承される。それは白土三平の「影丸伝」の影一族が斃されてもなお姿を変え、「革命」を志向していく姿と重なる。

 高取詩劇の援軍は常に「歴史」の中から浮かび上がる。
 高取史観は過去と現在・未来がワープしながら「あり得た歴史」を描くもの。寺山修司は「実際に起こらなかったことも歴史のうちであると思えば過去の作り変えによってこそ人生は現在の呪縛から解放されるのである」と言った。換言すれば、想像力こそが世界を変えると寺山修司は言ったのだ。それを、高取さんは演劇で実践した。

 ただし、宮本研に代表される新劇の墨痕鮮やかな楷書体の「革命」ではなく、高取さんのそれは人懐っこい丸ゴシックの「かくめい」だ。
 初演のチラシに高取さんは「演劇はシェークスピア戯曲集の中にも、世界演劇史の中にもない。それは改造人形バービーちゃんにある」と書いている。バービーちゃんというのは、白夜書房の出していた「ビリー」にでてくる人形偏愛者が作り出した人形のこと。つまり、インテリではなく、そのへんに転がっている変態人形にこそ演劇の本質を見出したのだ。

「演劇内演劇を評している演劇ジャーナリストは地動説を信じた中世の聖職者と何ら変わりはない」とまで言い切っている。
 高取さんの志向は寺山修司さんと同じく、演劇という枠におさまらない「演劇外演劇」だった。そのためには、既成の俳優よりも無垢な「素人」の方が、高取史観を伝えるのに有効だった。

 高取史観に大きな影響を与えた一人は矢切止夫だった。「ファンレターを送ったら段ボール2箱の著書を送ってきてくれた」と昔言ってた。矢切史観というのは、「上杉謙信は女だった」とか、「織田信長を殺したのは光秀ではない。イエズス会だ」「徳川家康は四人いた」という家康の影武者説、「天皇アラブ渡来説」「大和民族は外来民族であるという説」など荒唐無稽だけど一理ある。

 外来民族説は新左翼諸党派、また太田竜に大きな影響を与えた。「冥王星」(PLUTO=プルート)の基はローマ神話に登場する冥府の王である。「死」の象徴であり、プルートゥは手塚治虫の鉄腕アトム「史上最大のロボット」篇に登場する。自身が最強のロボットであることを証明するために各国のスーパーロボットと果たし合いをするが、戦いを重ねるうちに、自分のアイデンティティーに悩むようになっていく。
 手塚ファンの高取英が「冥王星の使者」と題したことにこの悲劇のロボットがあったのは間違いない。主人公の高橋芳彦は宇宙にワープし、死の象徴である冥王星から、天体を見つめる。そこには天王星や土星が見える。もはや高橋は冥府の「死者」なのだ。革命のために闘い、斃れ、傷ついた若者たちの安息の地。亜美が言う。「宇宙は神さまの夢だとするとその神は艮の金神さま。そしてその艮の金神の夢の中で私たちは神を夢見ているのかもしれない…」。

 そう、それでも私たちは革命の夢を見続けるのだ。
 高取ロマン(物語)の原点ともいえる屈指の作品。
 今回、天野・流山児という演劇界の異能が高取ワールドを組み立て直したことで高取さんが描こうとした物語がはっきりとした輪郭で迫った。 精妙な人形の小道具を見たら高取さんが喜んだに違いない。同じ時間をループする天野演出も効果を上げていた。

 なによりも役者陣が素晴らしい。主人公・高橋を演じた春はるかがすっくと立つ男前の凛々しさ。元月蝕歌劇団の三坂知絵子が眼光鋭く、長女・亜美を演じて迫真の芝居。伊藤弘子が教団の主・井戸本を軽妙に。坂本杏奈が北条政子の酷薄を重厚に。傀儡子たち(里美和彦・森春介・山下直哉)が自在に物語を牽引した。 そのほかのキャストも見事に高取ワールドを体現していた。二女マキ(山川美憂)、静御前(荒木理恵)、テコナ・静江(鈴木麻里)、刑事部長(栗原茂)、刑事(上田和弘・本間隆斗)、源義経(高信すみれ)、弁慶(平野直美)、北条時政(向後絵梨香)、源頼政(竹本優希)、弥生(真田雪)、署長(流山児祥)。

今回の舞台は、高取脚本に三坂知絵子・森永理科(元月蝕歌劇団)+V・銀太・流山児祥が手を加えた共同脚本とのこと。
音楽は巻上公一、重要な人形製作はITOプロジェクトの山田俊彦、映像・振付は池田遼(少年王者館)。
 聖ミカエラ学園漂流記から42年、高取演劇はブレる事なく、同じテーマで変奏してきたという事がよくわかる。
1時間40分。12月1日まで。

【様々なる劇評そのI】
今村修(演劇評論家)・・・・実に明晰で的確な劇評です

〜アングラの風が時代のざわめきを運んでくる。〜

25日は流山児★事務所創立40周年記念公演「冥王星の使者」(作=高取英、脚本・演出=流山児祥、脚本・演出協力=天野天街、音楽=巻上公一)@新宿スターフィールド。
「月蝕歌劇団」を率い数々の奇想に富んだ舞台を生み出した高取が1984年に「演劇団」(流山児★事務所の前身)の解散公演のために書き下ろした作品。高取英七回忌として、少年王者舘主宰の天野天街脚本・演出で上演予定だったが、今年7月に天野が世を去ったため、月蝕歌劇団の三坂知絵子・森永理科、V・銀太、流山児の4人が脚本を手がけ、天野が残した演出プランを軸に流山児が最終台本を仕上げた。昭和初期の歴史的宗教弾圧とそれを題材に1966年に世に出た長編小説「邪宗門」、それに源義経伝説という三つの世界が入り乱れて沸き返る、革命幻想に強く彩られた舞台だ。

 新宗教「オオヌシ教」が国体変革と不敬の目的を抱く邪宗と喧伝され、国家権力からの大弾圧を受けていた。京大生の高橋芳彦(春はるか)は、この事件を題材にした小説を書いていたが、いつしか時空を超えて教団の運営に深く関わるようになる。教主・井戸本(伊藤弘子)をはじめ多くの信者が投獄され、その留守を守る亜美(三坂知絵子)・マキ(山川美優)はでっち上げ、デマを交えた世間の激しいバッシングに耐えている。が、それも限界に達し、亜美は信徒に一斉蜂起を呼びかけ高橋もそれに参加する。一方、時折高橋の前に姿を現す静御前の幻(荒木理恵)は、愛する義経(高信すみれ)や弁慶(平野直美)らと共に、頼朝(竹本優希)の手を逃れ、奥州平泉を目指している。

 当初は破竹の勢いだったオオヌシ教の蜂起も次第に劣勢を迎え、それが義経一行の逃避行と重なるうち、奇想天外なクライマックスになだれ込んでいく。
 ドラマの中心には、アマテラスの末裔である天津神、国家権力、北条政子と、それに抗うスサノオの末裔である国津神、教団、源氏の対立が一貫して流れる。この対立には正規軍である侍、国軍を手玉に取る傀儡や山窩などの山の民といういかにも高取好みの人々も登場する。スサノオ側が目指すのは「宇宙一切を許す本当の平穏」。そのためには「世界同時貧民革命」も辞さない。

 だが、劇中で高橋が語る「宇宙一切を許す本当の平穏」が得られる場所としての「冥王星」の何という寂寥、何という孤独。誰もが一時は夢見る「ここではない何処か」の究極に待ち受けるこの虚無感は、天野の名作「西遊記」で一人生き残った岩猿・悟空が纏う虚無を鮮やかに彷彿させる。果たしてこの部分は、高取のオリジナル戯曲そのままなのだろうか。だとすれば、高取と天野の見ていた世界の余りの類似性に驚かされる。

 劇世界に観客を誘い込む岡林信康の「私たちの望むものは」に鷲掴みにされ、冒頭の月蝕歌劇団風(というか天井桟敷風)のマッチを擦りながらの登場シーンに高揚する。暗黒少女歌劇とも呼ばれた月蝕歌劇団を思わせる男装の麗人多様のキャスティング、障子、柱時計、人形、糸操りなどの小道具がドラマをノスタルジックに彩る。天野が得意としたノイジーな映像、シーンの果てしない反復、言葉のラビリンスなどもこれでもかと盛り込まれ、時空をかき回す。そんな世界を挑発する巻上の音楽は、天野が強く望んだものだという。

 舞台は、一足早く旅立った2人の異彩に対するリスペクトとオマージュに溢れている。もちろんそれだけではない。流山児流のサービス精神、遊び心も満載だ。お約束の流山児演じる警察署長は今回も登場するし、彼の「これより…後半戦!」以降の一気呵成のドライブ感はまさに面目躍如。と、ジジイの観客には応えられない舞台だが、これを今若い人が観たらどう映るのだろう、といささか余計なことも気になった。

 高揚の勢いを借りて、自宅の書棚を引っかき回して大学時代に買った「邪宗門」を“発掘“した。河出書房新社版「高橋和巳作品集4」(1972年5月25日13版発行)。箱入り、布貼りの立派な装丁で、659ページ。これで750円という値段に目を見張った。舞台を観終わった直後は「読み直してみようか」とも思ったのだが、2段組でびっしり並んだ活字にたちまち気持ちは萎んだ。これをものともせず、夢中になって読んだ大学生時代のワクワク感が甦り、隔世の感に途方に暮れる。と共に、小説では貧民の側として新宗教が、今は権力を操る側に移ってしまっている時代の移ろいを絶望的に思った。(敬称略)

【あと4日間5ステージ限り、ふらりと新宿まで!!】
流山児★事務所が高取英・天野天街に捧げる40周年公演
再演の予定はありません お見逃しなく!
【冥王星の使者・残席状況】※当日券は開演30分前発売
◎大余裕アリ ■余裕アリ ▲残席僅少 ✖予約完売
28(木)19時✖予約完売 ※当日券アリ
29(金)14時◎
30(土)14時■ 19時◎
12/1(日) 14時▲
。。。。。。。。。。。。。。。。。
◆11月21(木)〜12月1(日)@新宿スターフィールド
※上演時間1時間45分
※当日券は開演30分前より劇場受付にて販売します
◆高取英✖天野天街✖流山児祥✖巻上公一で創り上げる冥王星と海王星の軌道の交点に生まれる物語
【様々なる劇評そのF】
■永野 希(女優・歌手)
流山児★事務所『冥王星の使者』を観劇しました。思い出いっぱいの新宿スターフィールド。
楽しさと感動と興奮と高揚に胸がいっぱいで、いま何か足りない言葉をこぼしてしまうのが嫌なくらい良かったです。人の演じる演劇の力、とてつもないエネルギーを浴びて受け取りました。うう、本当に観られてよかった……!もう、ほんとに、高取さんの脚本。ド高取さん。ですし、脚色の皆様のはかりしれない高取愛。
歌歌歌歌!歌いっぱい!最高!ヒカシューの巻上公一さん!高橋と義経のタンゴ!
プロップのギミックも凄すぎてわからなくて、魔法に巻き込まれたかと思った。🪨🎎。。。⚔️もすごい。
天野天街さん演出の良いところを使ったという流山児さん。「私はものをつくる」で涙が飛び出た。高取さんの七回忌の今日。独り静かに悼み、偲んでいたような日に、こんなにすてきな公演を観せてくださり、ありがとうございます。
出演者の皆様ほんとうに素敵でときめきっぱなしでした。三坂知絵子さんが素敵すぎました。。。公演後のトークショーで高取さんとの思い出を語る流山児さん、巻上さん、山田さん、森永理科さん。高取さんとながいながい時間を共にした皆さまの深い深い高取愛。『五瓣の椿』のことも話題にあがりました。理科さんの、高取さんの脚本はほんとうにおもしろいから、若い子達にも広めていきたいとにこやかに語る様子に、涙。
私も次にまた舞台に立てる時は、ばくはつするぞ。
明日以降も12月1日まで新宿スターフィールドにて公演があります。
かなしい歴史に復讐したいひと、アングラ、物凄いパワーにとにかく触れたいひと、是非!

■いしかわじゅん(漫画家)
新宿のスターフィールドで、流山児事務所「冥王星の使者」を観てきた。元の脚本は、高取英だ。奇しくも今日は、高取の命日。急いじゃったんだよな。まったくもう。演出は天野天街のはずだったのだが、彼も亡くなって、脚本を森永理科や流山児たちで構成し、流山児祥演出になったようだ。音楽は、ヒカシューの巻上公一。
いやー、アングラだな。でも、若い役者たちが明るい。昔のアングラみたいな、怨念の籠った舞台にならないのが、今なんだな。物語は高取得意の、時空をすっ飛ばして虐げられた者たちが反乱を起こすやつだ。今回は、セーラー服はなし。小さな舞台で大勢の役者たちが歌って踊って殺陣をして、ノンストップでラストまで。アフタートークもついて、高取と流山児を堪能したよ。

■伊藤裕作(歌人・ライター)
高取が見つめし夢を残されし我らしみじみ また”夢”を見る

■かえる
新宿スターフィールフド,2024.11.21-12.1
高橋和巳「邪宗門」に想を得た舞台らしい。 
「アマテラスに奪われた地上の統治権を奪い返すべく国津神の復権を唱える宗教団体」の話です。これに源頼朝の義経追放が加わる。 
国家や宗教を相手にするので物語は暗く重たい。「信仰とは何か? 救済なり。救済とは何か?死なり。 死とは何か?安楽なり」と教団教義は吠える。 
複雑な流れです。 
スサノオウとアマテラスの争いが現代の世直し教団と国家権力の闘いに再現される。現天皇は偽者である!義経と頼朝の争いにも伝染していく。北条政子にアマテラスが乗り移った!傀儡(くぐつ)は味方か敵か?時空は飛び回る。
昭和の匂いがする舞台です。肉体の匂いと言ってよい。そこに天野天街の振付も被さる。これで舞台はリズムを持った。追い詰められた教祖高橋はあたかも冥王星の使者のごとく民の平穏な暮らしを求めて幕が下りようとする。
でも民のみえない舞台ですが。同時に縄に絡めとられた役者が身動きできないでフェードアウトしたのは闘争がこれからも続く予感がしました。
聖師の次女マキが小児麻痺を克服し継主としての将来を見据えるかのように。奥深い背景を消化したようには思えないが勢いで舞台をまとめる巧さが出ていた。加えて、物理的に小さな舞台だが十分に熟していました。
【様々なる劇評E】
小松杏里(劇作家・演出家)
昨年3月の西村博子さんのお別れ会以来の新宿スターフィールドに行き、流山児★事務所の『冥王星の使者』を観てきた。
Facebookは一般公開もしていないし、批評や評論が書けるほど最近は演劇を観ていないので、個人的な思いを好き勝手に書く(^_^;)
ちょい、いや、かなり長いけど、書き残しておかなくては(笑)。
『冥王星の使者』は、6年前の11月26日(もうすぐ七回忌)に66歳で亡くなった高取英さんの作品(戯曲)で、40年前の1984年、第二次演劇団最終公演として、下北沢のザ・スズナリや名古屋の鈴蘭南座、大阪のオレンジルームなどで初演された。
私はもちろん、スズナリでの公演を観ている。
今回のこの作品は本来、今年の7月7日に64歳で亡くなった少年王者舘の天野天街が演出するはずだったという。
高取さんや天野天街との関わりについては、すでに何回か書いているが、二人と知り合ったのは、共に40年以上前のことだ。
流山児祥さんとも。
高取さんの代表作のひとつである『聖ミカエラ学園漂流記』を演劇舎螳螂で初演したのが1982年で、私が、流山児さん率いる演劇団(第一次)で上演した、高取さんの作品『新版・月蝕歌劇団−魔都航海編』にマスター役で出演したのが81年。
天野天街が少年王者舘を旗揚げしたのが82年(当時は少年王者と名乗っていた)で、当時、わざわざ名古屋まで観に行くほど好きだった北村想さんの彗星’86(その劇団名は82年からで、それ以前はTPO師☆団という名前だった)の公演を観に行った時に彼に初めて会った。その後、彼には、私が構成に関わったテレビ番組『徳光和夫のTVフォーラム』のパフォーマンス特集に出てもらった(名古屋の路上での取材のVTR出演だったが)。これは85年で、この時もまだ少年王者だった。
ちなみにこの時、日本テレビのスタジオに生で出演して演じてもらったのが、飴屋法水の東京グランギニョールの『マーキュロイド』だ(YouTubeで観られるが、当時の螳螂の若い女優たちが観に来ていて映っているのが笑える。深堀アナのインタビューを手で振り払うように拒否している女の子たちではないけどw)。
天野とは、その後、名古屋に少年王者舘の公演も観に行くようになり、東京での公演や江ノ島にあった天文館での公演、釜山に行った時にたまたま公演をしていたのを観たりと、つき合いは長く続いた。福岡に住んでいる時、北九州や熊本での公演も観に行ったなぁ(⁠ ⁠ꈍ⁠ᴗ⁠ꈍ⁠)
そして、今回の上演場所のスターフィールドは、元タイニイアリスだったところで、この劇場との関わりも古い。タイニイアリス(最初は新宿3丁目にあった)ができたのは83年で、螳螂はそこで公演こそしなかったが、美加理が出演したり、劇友たちの公演があったりで、よく観に行き、ここを運営していた西村さんや丹羽文夫さんとのつき合いも、この頃から始まった。
つまり、今回の『冥王星の使者』の公演を観に行くことは、私にとって、40年前からのいろいろな関わりが絡んでくる、非常に感慨深く、縁のあるものだったのだ。そして、高取さんも天野さんも、タイニイアリスの西村さんも丹羽さんも、番頭さんだった鳳いく太さんも、すでにこの世にはいないのだが、スターフィールドでこの公演を観ているうちに、彼らと共に、初演の第二次演劇団の出演者たち、塩野谷さんや我母かほるちゃん、蘭童セルや南雲京子や新白石さん、龍昇さんや弁慶役の流山児さん(今回も違う役で出ているけど)などの幻影が、高取さんの劇世界よろしく、タイムワープしてきたかのようにあちこちに浮かび上がり、不思議な思いに捉われた1時間45分だったのだ。
だから、芝居そのものについても、一般の人が観て感じるようなものではなく、ごく個人的な感想なので、まったく参考にならないと思う(笑)。
その今回の『冥王星の使者』だが、確かにアングラテイスト満載で、当然ながら高取さんの独特の世界観や、天野天街演出のリフレインや映像の使い方、日常的な動きを取り入れたダンスなどが随所に盛り込まれ、充分に楽しめるものだったのだが、私にはとても健康的で明るいアングラに思えた。悪い意味ではない。
若い役者たちが熱く演じていたり、女優が男役をやっていたりと、高取さんが主宰していた劇団、月蝕歌劇団を彷彿させるところもあったりと、観ながら、懐かしさも感じた。
音楽も、初演時は千野秀一さんだったのが巻上公一さんに変わり、妖しさよりもポップなものになっていた気がする。
それらはもちろん、今の時代に合っているものなのだと思う。
だから、それはそれでいいのだが、個人的には、かつてのアングラ演劇のいい加減さや妖しさや怖さ、そして、大阪生まれの高取さんの苦笑してしまうような内輪受け的なギャグのええ加減さを、もっと感じたかったというのが、正直な感想だ。
若い子たちみんな、芝居、丁寧で上手だよ(笑)。もちろん、いいことなのだが。
というわけで、長くなったが、いろいろな思いを感じさせてくれて、とても楽しい時間を過ごさせてもらったことに大感謝の、流山児★事務所公演『冥王星の使者』であった。
来週の日曜、12月1日までやっている。
そう、あとひとつ。高取さんがずっと描いてきた、時代や時間をワープして物語が通底する劇世界は、今や大人気の韓流ドラマでも流行っている世界なので、高取さんは時代を先取りしていたんだなぁと、つくづく思った。素晴らしいね。で、私も、高取さんの作品をまたやりたくなったな。やるとしたらやはり、ミカエラかな(⁠。⁠•̀⁠ᴗ⁠-⁠)⁠✧
【様々なる劇評そのD】
■芝居漬け
高取英の戯曲を流山児祥が今年逝去した天野天街だったら、、と亡き盟友へのオマージュを込めて演出し、流山児★事務所の役者を総動員して作り上げた舞台。
天野節(スタイル)がそこここに−ザッピング音が入ってのシーンの繰り返しや映像効果、襖の開閉から生じる異次元へのワープなど−現れて、天野演出が活かされ、その存在を舞台に確認出来る。
内容に関しては1984年アングラ色満載で、1966年発行の当時の若者たちのバイブル、新興宗教団体の弾圧を描いた高橋和巳著「邪宗門」を追いながら、発想のタイムトラベル変換を用い、演劇の自由度からどの時代にも通じる反骨劇へと昇華している。
お時間のある人は−ほとんどの人がその詳細に関して知らないと思われる−観劇前に高橋和巳「邪宗門」についてWikiで一読することをおすすめする。 実際、著者の家族、まわりにさまざまな新興宗教信者がいたこと(なので著者はその内情を常に目撃してきた)、実際におきた新興宗教弾圧のことなどが書かれていて、歴史の中で起こったことと言え、その背景に大きな国家的な力が見え隠れする様が浮かんでくる。そこから、自然と60〜70年代、日本での学生運動の成り行きが浮かんできて、そして今の日本の社会状況−弱者が訴えようとするとすぐにおさえつけられ声をあげる場も奪われる−までもが見えてくる。
新宿スターフィールドの小ぶりな舞台も、早稲田の拠点スタジオで日々修練している流山児★事務所の役者たちには苦にならず、20人弱の俳優陣があの狭いスペースで見事に躍動しているのはさすが、としか言いようがない。
そして、今回、見どころの一つが人形の使い方。(人形製作:山田俊彦)等身大の人形たちから手のひらサイズの簡素な人形まで、多彩なあり方で存在を示していた。
■しヴぁ
流山児☆事務所の「冥王星の使者」観てきた!
最高の始まり方にワクワク。 ふたつの末法の世が重なり合うことで起こる新世界の始まりが平穏を表すのか、それとも6を0や1に戻す行為なのか。求めた安楽は訪れたのか。
安楽を得た者たちに哀悼の意を。
■ugetsu
2024/11 流山児★事務所「冥王星の使者」at新宿スターフィールド
思ったよりド直球のアングラ音楽劇。
実際の歴史を下敷きにしたフィクションが裏返ったり表返ったりオモチャ箱みたいな賑やかさの中にふとした瞬間混じる虚無感が好き。途中で流れたインストはヒカシューの「パイク」だよね?#冥王星の使者
■栗原孝之
新宿スターフィールドで流山児★事務所「冥王星の使者」を観ました。男役の春さんの叫び、山川さんの少女役、爆笑の栗原さん達刑事三人組などなど見どころたっぷりでした😽✨
■劇団アンケートから
「田園に死す」のオマージュかと思えるほど、デジャブを感じました。主演女優含め、皆さんの熱の籠もった演技に感動しました。1つだけ、繰り返す台詞がくど過ぎるなと感じたことが自分には合いませんでした。これからもがんばって下さい。
■劇団アンケートから
良い戯曲はいつまでも錆びないことを証明してくれました。
そして演出の力で耀きを増すことを実感いたしました。これからもパワフルな舞台を期待しています。
久しぶりに感動しました。ありがとう!
■M❤Zukunashi
「冥王星の使者」観劇 @新宿スターフィールド
三坂知絵子さん月蝕時代と変わらない迫力。妹役の山川美優さん、月蝕に居た頃の三坂さんの雰囲気に似ていて本当の姉妹みたい。「かくめいは命を改める事、日々の自分を改める事」流山児談