これは素敵な「劇評」です。
BY月蝕歌劇団:高取英
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流山児事務所「満州戦線」作 パク・グニョン 演出 シライケイタを見た。このような作品があるとは。ぶったまげた。
「満洲國」が舞台だが、そこに登場する朝鮮の人々は、日本に同化しようとする人々なのだ。朝鮮独立のために戦う同胞を匪賊という!
物語は、日本人の妻子ある男と愛しあった女性、演じるのは、みょんふぁ、の悲劇へと至るが、彼女もその身ごもった赤ちゃんも引き受けるという、男、関東軍の将校だが、その申し出を彼女は断る。
理由は、彼が朝鮮人だから!たまげた。
男は、カゴシマジローが演じている。モデルは、朴 正煕とか。
いうまでもなく、大日本帝國統治時代を批判しての作品なのだが、これ、韓国で上演したとき、大丈夫だったのかと思った。やはり、かなり批判の声が上がったという。この人々は、愚かな面もたくさんあるという設定で、笑わせる部分もたくさんある。戯画化されてはいる。しかし、それにしても、ここまで描くのかという驚きだ。ラストも唖然。
伊藤弘子が男の妹で笑わせ、生まれた子供の息子は、木暮拓也で、語りも彼。
終わって流山児さん、伊藤裕作さんらと酒場に。伊藤さんは、新劇だねえ、とそのスタイルに不満のようだった。セリフ劇なので、そういういい方はわかるが、スタイルの問題なんか、超えた作品だ。この作者、凄いと思った。
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※ 伊藤裕作です。スタイルのこともそうですが、多分、この芝居、私には荷が重かったのだと思います。観劇後、一人になって一首。
俺の父満州帰りの敗残兵 彼の地のことを子に告げず逝った
◎ 実にシンプルで「素敵な」高取英らしい感想に「シンプル」に感激、感謝。わたしも、高取みたいにこの芝居を「初めて」観たとき「ブッたまげた」。だから、絶対上演しようと想った。パク・クニョンは本当に「凄い作家だ!」と想ってます。たまげる=魂消る・・・スズナリで多くの観客の「魂」が消えてる・・・。