1974年、北海道白老町で、町長が若い男に刺されるという事件が起こる。
犯人は最初アイヌを名乗っていたが、広島から来た活動家だった。
この取り調べ風景に、江戸時代の1669年、松前藩に対して、日高地方の部族が蜂起した「シャクシャインの戦い」が時を超えて交錯する。
広大で豊かな土地でサケやニシンを取り生活する彼らの懐に土足で入って来た倭人との戦いは幾度となく繰り返され、明治維新で日本の戸籍を与えられてからも差別は続く…
1965年、白老町にできたポロトコタン建設に反対した若者たちが訴えた「アイヌ独立論」革命から町長襲撃事件は起こった…
取り調べの担当刑事(杉木隆幸)と副酋長シャクシャイン、町長襲撃事件容疑者八木原(田島亮)と松前藩終代官、佐藤権左衛門(流山児祥)の部下、文四郎がそれぞれ同一人物で演じられるところがこの物語を面白くしたことは間違いない。
時代が飛んでも気持ちが途切れることなく、終盤の取調室での対峙は息を呑む。
詩森の言いたいところは、決して過去の物語でない、今も権力による分断が横行して何ら変わらぬ世の中への批判!
前半から詩森演出はらしい役者たちの動きのある演出に微笑みながら観ていたのが、まさかこんなところまで追い詰められるとは思いもしなかった。
「越後屋、お主も悪よのう」くらいの松前藩で憎らしい限りの代官を演じた流山児さんが現代のススキノのキャバレーで🎶イヨマンテの夜を歌い上げる姿は、噂どおりの大迫力で、これだけでもお金が取れる。
シャクシャインの娘チャレンカの山丸莉菜が清涼剤のような存在だったので、ラストの衝撃は参った!
忘れてならないのが、劇中全編に渡り鳴り響く鈴木光介の生演奏で、多いにこの物語を盛り上げた。
