公演情報

流山児★事務所
40th Anniversary
『冥王星の使者』

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作⦿高取英
(月蝕歌劇団)

脚本・演出協力⦿天野天街
(少年王者舘)

演出⦿流山児祥

音楽⦿巻上公一
(ヒカシュー)

人形製作⦿山田俊彦
(人形劇団ココン/ITOプロジェクト)
 

新宿シアター
スターフィールド
にて、

2024年11月21日
開幕!


公演詳細

 

ご予約
 

 

 

流山児★事務所
2023年度 新人募集
劇団で活動することに興味がある人を募集します。

【募集人員】
6名 (俳優・スタッフ・制作)
18歳以上35歳未満。
国籍不問。心身ともに健康な男女

【第一次審査:書類選考】
以下を流山児★事務所まで郵送してください。
(1)履歴書(連絡のつく電話番号とメールアドレスを記載のこと)
(2)写真1点(バストアップ)
(3)作文「流山児★事務所に入団してやりたいこと」(400字程度)


【第二次審査:実技・面接】
書類選考通過者のみ、連絡いたします。
※実技審査料3,000円は当日持参のこと。
※スタッフ・制作は面接のみ(無料)です。

【入団後の活動】
流山児★事務所の活動に準じていただきます。
優秀な新人は劇団公演、海外公演などに参加できます。

【お問合せ・応募先】
流山児★事務所 新人募集係
〒162-0045 東京都新宿区馬場下町60番地 まんしょん早稲田307
TEL:03-5272-1785(平日13時〜17時)
E-MAIL:mail@ryuzanji.com

情報詳細
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演劇ジャーナリスト:山田勝仁氏の劇評[「流れる血、あたたく」]
【様々なる劇評】演劇ジャーナリスト:山田勝仁氏
 昨日はSPACE早稲田で日本の演劇人を育てるプロジェクト 
新進演劇人育成公演 劇作家部門「流れる血、あたたかく」(作=三上陽永、演出=日澤雄介)

 育成対象者の三上陽永は「虚構の劇団」(2007―2022)、「ぽこぽこクラブ」(2013―)と結構長いキヤリアがあるが、彼に注目したのは2023年の流山児☆事務所事務所「血は立ったまま眠っている」の緻密かつ大胆な演出だった。
 これで演出家としての手腕は認識したが、今回は作家としても認識を新たにした。

 作品は2008年に起きた秋葉原無差別殺傷事件を題材にしたもので、犯人とその家族、とりわけ弟の心象に焦点を当てたもので、過去と現在を往還しながら、家族の「真実」を見つめていく。

 ダークな人間の心の深奥を見つめる戯曲は犯人と同じ青森育ちのピストル魔・永山則夫を題材にした大竹野正典の「サヨナフ」を彷彿とさせる。
 実際の事件は犯人・加藤智大が2トントラックで赤信号を無視して交差点に突入し、通行人5人を次々とはねた上、通行人や警察官ら17人を次々とダガーナイフで刺した。一連の犯行によって7人が死亡、10人が重軽傷を負った。加藤は2015年に死刑判決が確定し、2022年に東京拘置所で死刑を執行された。 犯人の加藤と同じ青森高校(青高=せいこう)の1学年下が三上。青高は県内一の進学校。
 物語の犯人(山下直哉)は子どものころから母親(伊藤弘子)にエリート教育を強いられた。その母もまた「青高」という呪縛に囚われていた。青高を卒業しながら大学進学できなかったというコンプレックス。それゆえ、夫(甲津拓平)が銀行員という、田舎ではエリートであるにも関わらず彼女の上昇志向は夫への蔑視となる。

 弟(小川哲也)は事件が元で婚約破談となり、事件から数年後に友人のルポライター(浦川拓海)から加害家族としての立場からの手記を求められる。 弟が幻視する過去。そこでは兄はごく普通の青春を送っている。
 インターネット黎明期の相互交流「掲示板」で知り合ったシングルマザー(中村美貴)、その息子(本間隆斗)との純な関係。
そんな彼を無差別殺人に駆り立てたものは何か。

 一つには幼い頃からの両親との歪んだ関係。厳しく勉学を強いる母、妻の異様さに目をふさぐ夫。
 日澤演出は三上脚本との十全な共同作業を通して、救いようのない家族の醜悪さ、愚かさを現出させた。
 青森ということで、ねぶたのラッセーラーというハネトたちも場所狭しと踊る。
 旅行先が浅虫温泉といった地元ネタ、あるいは、弟が兄を「アレ」と呼んだことは侮蔑ではなく方言では「アレ」は単なる「あの人」という呼称なのだという方言への無理解が生む誤解に言及していた。 
下北弁でも「おめぇ」と相手を呼ぶのは最高の敬称「あなたさま」なのに「てめえ」と誤解されるし…。 あるいは同郷の寺山修司へのオマージュといえる「心と心臓とのあいだを走りつづけるさみしい汽車がある」をもじったセリフもあった。

 ただし、「のぞき事件」は寺山さんも冤罪だと主張し、通報した人物がいわくつきの人間だったので今ではのぞき事件は誤認だったとなっているからあまり笑いのネタにしないほうがいい。

 揺れ動く犯人の暗い情動を山下が、伊藤弘子は毒親を、甲津は気の弱い父を好演。後に自殺する弟の小川は初めて見る役者だが、端正な芝居をすると思ったら文学座研修生出身とのこと。

 「突きつめれば、人を殺すか自殺するか、どっちかしかないと思うことがある」とは実際の弟の告白だが、三上はその問いに3つ目の答えを用意する。それは「川の字になって寝ること」。つまり、両親の間に挟まれて寝ること。普通の家族の幸せ。
 しかし、それは兄弟の家族にとっては月よりも遠い場所だったに違いない。

 好漢・三上陽永が挑んだ今回の作品が三上にとって新たな飛躍となるのは間違いない。役者としてもいい味を持っている。今回は青森弁の警官役。陰湿な物語の中でコメディーリリーフの役回りを果たした。
約2時間。23日まで。


ふらりと、早稲田までおいでください