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拝啓、ステージの神様。
江戸町民への憧れ?を体感できました。
『テラヤマ★歌舞伎 無頼漢(ならずもの)』テラヤマ(寺山)で、歌舞伎である。
どちらも私はてんでわかっちゃあいない。けれど、舞台を観ながら、「あの時代のあの町に生きてみたかったなぁ」なんて思うことはよくあることで、江戸時代の江戸の町は、度々そう思いを馳せることがある。
『テラヤマ★歌舞伎 無頼漢(ならずもの)』は、天保十三年のお話で、舞台は江戸の町。
原作・寺山修司、脚本・中津留章仁、音楽・上妻宏光、演出・流山児祥。
観客が江戸町民になるところからこの舞台はスタートする。役名で言ったら「その他の江戸町民」というところだろうか。中池袋公園で、彼らを輪の外から距離を取って見る。
「おいおい、なんかはじまったぞ!」
「またいつものお騒がせのあいつらだろ」ぐらいの感じで。
ほどなくして、会場の豊島公会堂(みらい座いけぶくろ)に案内される。
途中、信号が変わるのを待って横断歩道をしっかりわたったりしながら・・・・・・。
会場に入るとそこは芝居小屋。どうせなら桟敷に座りたい気分だった。そして、物語のつづきが始まる。
役者を目指す遊び人直次郎と花魁 三千歳との恋、直次郎と母親おくまとの関係、会いたいと願う三千歳の母は?江戸の政治は、江戸の芝居は、江戸の町民の暮らしは・・・・・・。
40名以上のキャストが、舞台の上、客席の間を駆け巡る、駆け巡る。どうせなら、その他の江戸町民たる私たちも、駆け巡りたかったほど。
どうせなら、もっと笑って、もっと泣いて、もっと歌って、もっと騒ぎたかった。でも、そこを敢えてその他の江戸町民らは取り残すようにしているのだとしたら、
そりゃあ、しょうがないか。
芝居のはじまりを告げ、チャンバラのリズムをあおる役目の拍子木のいい音が、冬の空によく響いた。
おっと、冬の空だって。ここは小屋の中だった。
「おいおい、なんか騒がしかったな!」
「あいつらいつもそうなんだって!」
江戸町民気分のまま、芝居小屋を跡にした。