BY柾木博行(演劇評論家:シアターアーツ編集部)
「昨日見た流山児☆事務所のミュージカル『青ひげ公の城』、ちょっと予想していたのとは桁違いの面白さで、本当に素晴らしかった。
やはり主演の三人ー河原崎國太郎、毬谷友子、美加理の魅力を十分に引き出しているのが成功の要因ではあるが、終幕になると単なるメタシアターということを超えて、西武劇場での初演からこの作品に関わってきた美加理の個人史と溶け合い繋がり始める。
ついつい、美加理=宮城聰というイメージで考えがちだが、実はク・ナウカ以前の演劇活動が11年もある。この女優にとって10代後半からの11年の演劇活動は、その人生に大きな影響を与えていたに違いなく、その時に刻まれたものは今もその身体の芯に残っているのだろう。それを時々引き出して、若い頃に感じていた初心で演劇に向き合う手助けを時々流山児がやっているのかも。
そういうことを気づかせてくれたという点では流山児氏にも大感謝です。」