作:パク・クニヨン(劇団コルモッキル)、脚色・演出:シライケイタ(温泉ゴラゴン)、企画:流山児祥、流山児★事務所、ザ・スズナリ
”現代を生きる若者。若者には父親がいた。父親はベトナム戦争に参戦した兵士だった。その父親にも、父親がいた。父親の父親は、自国を侵略した国に渡り、成功を夢見ていた。父親の父親にも、父親がいた。父親の父親の父親は、自国を侵略した国の金持ちの元で働いていた。脈々と流れ伝わる、国の歴史と家族の歴史。戦争とは。侵略とは。現代を生きる我々の喉元に突き付けられている切実な問題の数々が、ここにある。日韓の立場を入れ替え、両国の「今」を考える。”
この芝居は”「韓国に日本が侵略されていた」という、あり得たかもしれない歴史”という仮定のもとに作られた作品で、その奇想のリアリテイが日本がベトナム戦争でアメリカの後方支援して、現地人を殺し、女性を乱暴したという話で焦点化して煮詰まる。実際は韓国がやったことだが、自国では伏せられている事態を、日本に入れ替えて白日の下にさらしたのだ。
この舞台は日韓のこれまでの複雑な歴史をにぎやかな朝鮮舞踊を交えながら、シライが面白く見せる工夫をたっぷり工夫した舞台だった。