これが、オモシロい。
先日スペース早稲田で観劇した流山児事務所の『OKINAWA1972』は迫力ある芝居で見応えあった。
沖縄が返還されるとなると本土のヤクザが入って来 るから、対立抗争していた地元のヤクザ同士が大同団結するという物語は、中島貞夫監督の『沖縄やくざ戦争』を思い出したが、小劇場という空間で暴れまくるヤクザの抗争を見せられると臨場感があってコワい。
更にそこに流山児祥演じる時の総理大臣佐藤栄作が、外交特使に沖縄返還の 交渉を指示する場面が入り込んで鳥瞰的な視点が獲得されて面白い。
核兵器を作らない、持たない、持ち込ませない、という被爆国日本の国是「非核三原則」を、アメリカは軽く無視して「有事の際は事前通告無しで核兵器を持ち込める」ことを条件にして沖縄を返してくれた……という事実は国民には 全く知らされずに密約となり、「核抜き本土並み返還」を果たした佐藤栄作はノーベル平和賞を獲るという大欺瞞が後に起きる。
いちおう佐藤栄作は悩む。もしその通りにしたら「今後百年、日本はアメリカの属国となってしまう」と。悩んだかも知れないが、結局は属国の道を選び、我々は属国で育ったというわけだ
ヤクザの方が真実を貫いてるじゃないか、という話である。