今朝起きたら、敬愛する戦友でもある演劇批評家の鴻英良さんの訃報を三坂さんのMessengerで知る
愕然を通りこし暫し呆然暗然佇立の体であった
「冥王星の使者」11月25日中日祝でいつものように鴻さんは劇団員にねぎらいの言葉をかけてくれた
とりわけ入団したばかりの新人たちの芝居を褒めてくれた
流山児★事務所の公演に来ると必ず鴻さんは役者たちに、独自の視点で「感想」をいって帰っていった
客演の三坂さんは、その後、劇場の階段上で立ち話していた
ぼくは「俺還るよ、鴻さん今度はスズナリで」といって別れたのが最後の挨拶になってしまった
まさか鴻さんがこんなに早く逝っちまうなんて思ってもいなかった・・・
想えば、鴻英良さんとは40年以上の長ーいつきあいである
ごく近い関係になったのは1990年代に入って共通の友人である高取英のお蔭だと思う
月蝕歌劇団、高取演劇の良き理解者が佐伯隆幸、松田政男、鴻英良、山田勝仁が4人の批評家であった
月蝕のロシア、スロベニア公演も鴻さんに負う力大であった
わたしも高取とスロベニアに行った、愉しい旅だった・・・
高取亡き後も、鴻さんは、ずーっと流山児★事務所公演を観劇し批評してくれた
2019年唐十郎:作『由比正雪』を「1968パリ5月革命に呼応した唯一の革命劇」と評してくれた時は、わが意を得たり!と、嬉しかった
今年も全作品を観てくれた
絶賛の『田園に死す』シアターRAKUの『めんどなさいばん』を観て北村想なのに
なぜかold ladyの芝居を観て「高取を想い出すなあ」と涙ぐんでいた、
実にpureな漢(ひと)となのである
『叛乱のオペラ』と『冥王星の使者』の比較、常に冷静な鑑賞眼には敬服した
大学時代物理が専門だったというと主役の春はるかも理科系という事で急に話が盛り上がったものである
高取没後10年に向けて高取演劇のさらなる展開、次世代への継承を、鴻さんにも一緒に考えてほしいので
時間があったら話そうと思っていたのに叶わぬこととなった
それにしても、2024年は敬愛する演劇界の巨人たちの死が相次いでいる。
5月唐十郎、7月天野天街、12月突然の鴻英良、辛い現実に愕然
この何年か、劇場で遭遇すると必ず「鴻批評」を聞くのが愉しみだった
鴻劇評には「独特の身体性」「思考する身体性」があるのがオモシロかったのだ、
だから現場の僕らに刺さったのだ 鴻さんの死は現代演劇批評の大いなる喪失となる
それにしても、カントールやタルコフスキー、ベケットと戦争を語るときの鴻さんは実にカッコよかったな
理不尽の魔と呼ぶべき「死」は必ず訪れるものだが、悔しいなあ、
まだ鴻さんに聞きたいことがいっぱいあったのに
鴻さんが@新宿スターフィールドで褒めてくれた「4人の今年入団した新人たちに」
アングラ=反権力の何たるかをSpace早稲田で教えてほしかったのに・・・