BY いくたまさと
「田園に死す」
今回初めて舞台上の「田園に死す」を鑑賞し、堪能しました。
今回の公演は最後のようですが、また再演もあると思いますので、まだ見ていない人はお勧めの昨品なのでぜひ見てください。
今回の演出では原作を舞台上で新たに解釈するだけでなく、寺山の全活動・全芸術を芝居の中に盛り込み、さらに寺山の死後の世界までも舞台に反映させるという、大変に欲張りな演出でした。
田舎の狭小世界から脱皮して「自分探し」に出かけようとするポット出の少年が中年にさしかかる(すでにさしかかった?)頃までを主に描いて、原作(の映画)にある哀愁・郷愁・土俗・呪術の雰囲気を無国籍・ポスト)モダン・アナーキーなアドヴェンチャーワールドに変えてしまっているような印象を受けました。
むちゃくちゃで破れかぶれの演出は、出演者全員のこれまたむちゃくちゃで、破れかぶれの、過剰極まるエネルギーとの相乗効果で、これまた私のむちゃくちゃな鑑賞眼から全部をド〜ンと眺めると、成功とか失敗したとかの次元をはるかに超えて、快演・怪演(出)の連続で、大いに私たち観客を楽しませてくれました。
真面目なほうのテーマとしては、人間とはいくら年をとっても自分の本性を突き止めようとし、世界を少しなりとも理解しょうとしないではおれない生き物だということが舞台よりこちらによく伝わった芝居だと思います。 シーザーの音楽は昔のものを流すところはそのままウェットに新しいものではドライな今日風の雰囲気が醸し出されていて、これも面白いコントラストだと思いました。
そのほか灰皿で役者の頭をたたきまわる蜷川おじさんなども登場し、アングラ劇発展史のパロディーまでも盛り込まれたいるので、まだ見ていない人には再演必見!のおススメ作品ですよ。
演劇定点◎カメラ BYねこ
「2年振り3演。何度みても新鮮な驚きを感じる舞台、今回も体験できて嬉しいねこ。
舞台、お話。初演と同じ。畳部屋、調度は故障した柱時計のみ。止まった時間は
寺山修司の臨終が時。マッチをするつかの間に取り残された寺山修司、のぞき屋が
追想、妄想する世界。
寺山、天野の両奇想が競いあう猛烈、2人の破天荒な勝負に物言いをつける流山児。
よくわからないけど、妙な三者均衡の中、寺山生涯と作品の妄想リミックス版が
展開。単品でもすごいのに相乗の見事なこと。今回最終、別の機会のセッションに
ぜひ立ち会いたいねこ。」
長文の読み応えのある「劇評」です。
BY演劇感想文リンク 清角克由
寺山修司の映画の世界にとどまらず、詩や小説、舞台から彼の人生そのものまであらゆる「寺山モノ」を集大成した荘厳とさえいえるアングラ舞台。
自分自身が一時期傾倒していたがゆえもあると思うが、舞台の場面場面からさまざまなものを連想し、芝居としてダイナミズムを感じて終わった後ちょっと言葉が出なかったほどの舞台でした。
<物語>
青森、下北半島の田舎に生まれたシンジは、戦争で父をなくして母親とふたりきりの生活。田舎に嫌気が差し、逃げ出したいと思うごくありふれた思春期の少年だった。近所の本家には遠くから来た若妻がいて、彼に駆け落ちをそそのかす。近所には、日本全国を回っている見世物小屋が興行をしようとしているが、彼らは「人攫(さら)い」だという噂がながれる。
<感想>
27年前、18歳の時、友達の家でこの「田園に死す」を見ました。演劇部にいて、どんな芝居を作っていくかということに悩み議論をしていくなかで、先輩に貸してもらってみたはずです。ものすごく印象に残ったものの、それと同じようなものを目指すのはなんか違うと思いながら、4年間芝居をやって卒業しました。
「田園に死す」の舞台を見る前に記憶の中に残っていたの、ざっくりとしたあらすじと印象的なラストシーンだけのつもりでした。
始まってみると、そんなことはないということがよくわかりました。「田園に死す」で最初に触れていたものは、思った以上に僕の脳に侵食し、根を張り巡らしていたのです。学生時代に何度か脚本を書こうとして断念したことがありましたが、そのいくつかの本のシーンは、「田園に死す」の焼き直しでしかなかった事に気づきました。(書き終わんなくてよかったorz)
田園に死す [HDニューマスター版] [DVD] posted with amazlet at 14.03.09キングレコード (2013-04-24)売り上げランキング: 25,037 Amazon.co.jpで詳細を見るまた、そうしたシーンを改めて、この舞台で見ることにより、意味が読み解けた部分も多数ありました(つうか、18歳の時に見た時には、それをまったく意識していなかったんだなぁと思い知りました)
例えば、明智小五郎青年は、「大義」の為に女を捨てるところは、その捨てられる女の立場から見れば、「女一人を幸せにできない男が、何を国家か」と罵倒されるに値する残酷さを秘めています。
この元となった映画が制作された時期を考えれば、このシーンは、三島由紀夫的な国家観(あるいは、父を戦争に駆り出した国家そのもの)へのアンチテーゼとしての女の立場からの国家観/幸福論であったんだなぁと気づきました。
また、映画見た時は単に面白いなぁとは思ったもののその意味がまったくわかっていなかった空気女のところも、主人公が空気ポンプで空気を入れることでお腹が膨らむ(映画ではお腹だけではなかった気がするが)シーンも、セックスのメタファーだったということにようやく気づいた。
家にたった一つの柱時計を据えた青森の田舎に育つシンジが、一人ひとりが腕時計をしている都会から来た見世物小屋の人たちから受けるショックも、家父長制から個人主義に移行してきた当時の現実世界のメタファーとして語られていたのです。
この舞台は、そういう事を改めて感じ取れるほどに忠実に映画版を再現し、その劇世界に没頭できるほど演出が見事にされていました。舞台装置から、細々とした小道具に至るまで実にきっちりと作りこまれ、手品のような完璧さで、場面転換が行われ、知らぬ間に大物の小道具が手に握られています。
歌、朗読、ダンス(?)等の役者の肉体を極限まで使い尽くした上に、照明、音響そして何よりも映像効果の利用により、舞台上の物語に幾層もの物語が上書きされていく感じで、クラクラするほどの臨場感がありました。アングラ演劇の凄みを改めて実感しました。
映画では、最後のシーンで壮絶な(と18歳の僕は思った)舞台崩しをやるので、そのシーンをどうやるのかなぁと思いながら終盤は、ワクワクしていました。あまりにも終盤が長い(一度終わったと思って拍手しちゃったし)ので、途中で飽きかけたのですが、まさかスズナリの中にスズナリを作るとは思いませんでした。意表を突かれました。
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スズナリで「田園に死す」昨日午後観た。
羨ましいほどの全員の歌の上手さと踊りの巧さ。
演出も小さい小屋での巨大なスペクタクル感。
天街さんお久しぶりでした。流山児さんも。そして映像の浜嶋さんも。
で、会社で早寝して早起きして作業という珍しい日々は続いてます。
田園に死す 流山児★事務所の『田園に死す』は天野天街さんが寺山修司作品を脚色・構成・演出した作品で、2009年に初演され、流山児★事務所はその年の紀伊國屋演劇賞団体賞を受賞しました。2011年に再演がありましたが、私は今年の最終公演(再々演)で初めて拝見しました。上演時間は約2時間10分休憩なし。
寺山修司の自伝的映画『田園に死す』をもとにしたメタ構造のお芝居で、短いシーンを積み重ねて寺山修司というアーティストの10〜40代の人生と、彼の作品(詩、演劇、映画)を立体化していきます。このお芝居自体が“寺山修司”そのものであり、同時に“天野天街”でもあるように感じました。
「… この作品は下北沢ザ・スズナリという「劇場」に捧げるオマージュです。愛するスズナリでしか上映出来ない素敵な作品、それが『田園に死す』です… と流山児氏の言葉。
寺山修司というひとも作品も私ごときがかじるにはあまりに大きいけれど、これで二度観たこの作品は これにて最終、永久終演。こみ上げて来るものがありました。
終演後 ゆっくりと暗転 拍手に包まれながらもカーテンコールもないさみしい、のではなく厳かな終演。
私もまたスズナリが大好きで この千秋楽こそ スズナリによく似合う。」
連日超満員のスズナリ、とどまることを知らない。
全国の寺山ファン、流山児ファン、アマノファンが一同に結集の感アリの日々です。
この芝居だけは見逃したらほんとに損です。私達の予想を超えて、再々演だというの、予想をはるかに超える多くのお客さんが、ホントーに全国からスズナリに詰め掛けている。初演の20ステージ、再演の15ステージより少ない14ステージにもかかわらず再演以上の「超満員」のお客様が・・・・・いや、凄い!!これは、「劇団」でしか出来ない実にシンプルな「ニンゲンの力」が爆発しているもっとも「演劇的な芝居」といっていい。流山児★事務所は実にアナログな「劇団」なのかもしれない。
流山児★事務所「田園に死す◎最終上演」@下北沢ザ・スズナリ(原作:寺山修司)本日:10(月)14時千穐楽。
【更に増席しました!】当日券の発売は13時、開場は13時45分、上演時間:2時間5分。
立ち見になる事もございます。※この名作、東京上演はありません。見逃すな!!
今すぐ当日予約!!!!http://www.ryuzanji.com
全国津々浦々からお客さんが下北沢に・・・・・!!
【満員好評に答えて増席しました!この名作を絶対、見逃すな、あと、3ステージ限り!】
流山児★事務所の名作「田園に死す◎最終上演」は@下北沢ザ・スズナリで上演中。
※9(日)昼・夜とも「残席僅少」のオススメ。当日券の発売は開演1時間前、開場は開演15分前、上演時間:2時間5分。当日券をご利用ください。充分ございます。
※10(月)は「前売り完売」!当日券予約アリ、充分ございます。
※立見席もございます。最後の「田園に死す」を目撃してください!二度とない最後の上演です。
http://www.ryuzanji.com/
急遽、増席しました!!
8(土)昼・夜とも「残席僅少」のオススメステージです。まだ、入れます。
当日券の発売は:開演1時間前、開場は:開演15分前、上演時間:2時間5分。
※9(日)昼・夜とも予約はお早めに、「残席僅少」です。
10(月)も「残席僅少」!今すぐ予約。
今日、ぜひ、下北沢ザ・スズナリまでおいでください。
まってまーす。
http://www.ryuzanji.com
7(金)は「余裕アリ」の超オススメステージ。
当日券の発売は18時、開場は18時45分、上演時間:2時間5分。
※8(土)昼:前売完売、夜:残席僅少
9(日)昼:残席僅少 夜:余裕アリ
10(月)昼:前売完売!
とりあえず、今夜7(金)夜、ぜひ、下北沢ザ・スズナリまでおいでください。劇団員・出演者・スタッフ一同まってまーす。
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