演劇が人に与える力。改めて感じたのが『青ひげ公の城』(寺山修司:作 流山児祥:演出)
流山児★事務所の代表作の1本であり、わたしも過去に観ているが、今回のパワーは圧倒的だった。
「構成を変え、全くの「新作」ミュージカルとして」創りあげた、とパンフレットにあったが、寺山の原作を大きく変えてはいない。
観客はまず中池袋公園に集り、台詞の書かれた紙を配られ、『青ひげ公の城』のオーディションに参加することになる。寺山の戯曲通りのオープニングが舞台上で演じられる。トランクを提げた少女(美加理)が、舞台監督(大久保鷹)に「誰、あんた?」と聞かれ「誰でもありません、まだ」と答える、おなじみのシーン。観客の私はオーディションに落ちてしまった人として羨望を込め、自分たちの代表として美加理を見詰めることになる。
バルトークのオペラと違い、寺山の芝居には青ひげ公は一切現れない。不在の主役をめぐる人々が、役者も裏方も、舞台や楽屋で右往左往する。そしてもう一つ。少女はかつてこの劇場で照明係をしていた兄を探す目的を持っている。消えてしまった兄は、寺山独特の仕掛けだ。
古びた豊島公会堂(まもなく建て替えとなる)の役者も、裏方も、客席の私、も「主役不在の劇」で右往左往させられるうち、これはこのまま「私の日々の生活だ」、と思い知る。
そんな私を、美加理のせりふが、まるで歌のようにやさしく包む。1979年、寺山自身の演出での本作がデビューの彼女、もう何度も演じてきた少女役。しかし今回は、まさにこの世のものとも思われない美しさ、透明感。「わたしはひとりしかいないのに、台本はいく通りもあります」「月よりも、もっと遠い場所・・それは劇場!」 他に、第五の妻役の毬谷友子の歌と演技には見惚れるばかりだった。
11月30日(日)に豊島公会堂で千秋楽を迎えたミュージカル「青ひげ公の城」は、流山児★事務所が豊島区及び公益財団法人としま未来文化財団とスクラムを組み、2012年から3年間にわたって寺山修司の作品を上演するというプロジェクトの集大成となる作品である。
昨年の寺山修司没後30年という節目の年をはさみ、テラヤマ市街劇「地球☆空洞説」、テラヤマ歌舞伎「無頼漢」に続いての3作目、ついに、とてつもない傑作が生まれた、そんな感慨に捉われる。
河原崎國太郎、毬谷友子、美加理、蘭妖子をはじめ、流山児★事務所の手練れの俳優たちが繰り広げる本作は、まさにこの豊島公会堂という空間でこそ相応しい「劇」のための劇であり、「劇場」のための劇であった。
豊島公会堂は昭和27年10月に開館したが、その年の4月28日まで、わが国は進駐軍の占領下にあったのだし、今のサンシャインシティが立地する場所は、当時、巣鴨拘置所として多くの戦犯を収容していた。手塚治虫の漫画「鉄腕アトム」が雑誌「少年」で連載開始されたのも、NHKラジオでドラマ「君の名は」の放送が始まったのもこの年だった。
手塚治虫が豊島区内に新築された伝説のアパート「トキワ荘」に入居するのはその翌年のことである。
今年で62年という時を刻み、いよいよ1年半後には取り壊される老朽化した劇場がそのまま劇の背景として昏い輝きを放ち、劇の構造と拮抗しながら観る者を引きずり込んでいく…。
公会堂前の中池袋公園で始められる公開オーディションがそのまま劇の導入となって、青ひげ公の7番目の妻の配役に選ばれたという少女が舞台に現れる。少女はそこで出会った舞台監督に誘われるように、不思議の国のアリスよろしくいくつもの扉を経巡りながら、青ひげ公の何人もの妻たちと邂逅し、翻弄されながらもいまや迷宮と化した劇場の奥へ奥へと入っていく。それはかつてその劇場で照明係として働きながら行方不明となった役者志望の兄を探す旅でもある。
そこで次々に登場する妻を演じる女優たちが実に妖しく魅力的である。歌舞伎、宝塚、ミュージカル、新劇等々、それぞれに出身は異なりながら、不思議なほど寺山ワールドに完全に溶け込んでいる。
中でも第5の妻を演じた毬谷友子の崩れた女優ぶり、第2の妻の河原崎國太郎の妖艶さは特筆もので、宝塚や歌舞伎とアングラ劇との近似性を改めて感じさせられる。
そういえば、この舞台で繰り広げられる台詞の数々が三島由紀夫の作劇におけるレトリックを想起させて興味深い。三島は寺山修司の芝居を面白いと認めていたが、この二人もまた根深いところで通底していたのかも知れない。
本作は、シェイクスピアやチェーホフ、テネシー・ウィリアムズなど、先行する劇や文学作品を様々に引用し、韜晦しながら、聖と俗、貴と賤、支配するものと支配されるものが混淆し、価値観の転倒した世界を描き出す。
まさに現代社会において紛い物が持つ真実を観客に突きつけるのだ。そこでは観客だからと安穏と観客席に座すことは許されない。
劇場全体が舞台となったこの劇では、観客もまた登場人物の一人だからである。
昭和27年に開設され、豊島区の文化活動を支えてきた豊島公会堂が、新ホールへと生まれ変わる。その最後を記念して、2012年から始まった豊島区と流山児★事務所が提携した企画、寺山修司の作品を連続上演する豊島区テラヤマプロジェクト。12年『地球☆空洞説』、13年『無頼漢』、今回のファイナル公演が『青ひげ公の城』(作:寺山修司、音楽:宇崎竜童、振付:前田清実、演出:流山児祥)。
まずは恒例になった幕開きのセレモニーが、公会堂前の中池袋公園から始まる。公園の広場に、『青ひげ公の城』のオーディションという設定で、流山児が仕切り、本舞台でも舞台監督役の大久保鷹に進行させて、集まった客に台本の冒頭を男女別に読ませる。
【プリント】
ユディット「きこえるわ、ため息が……、青ひげの城の方から、まるで、死人の髪の毛を吹きわけてくる風のようなため息が……ああ、あれは城のため息なんだわ」
青ひげ「そんな恐ろしいところに、どうして嫁いできたのだね、ユディット」
ユディット「あなたの腕の中で花嫁衣装を着たいからです」
そして、集まった全員で、豊島公会堂を指さし、「あれが青ひげ公の城だ!」と叫ぶ……。そして公会堂へなだれ込むように入ってゆく……。
この1979年にPARCO劇場で初演された魔術ミュージカル、今回は異色豪華キャスト。第一の妻が、流山児★事務所のトップ女優の伊藤弘子、第二の妻が前進座の立女形の河原崎國太郎、第三の妻が文学座の美形女優山崎美貴、第四の妻がミュージカル界の新星関谷春子、第五の妻が宝塚出身のベテラン毬谷友子、第六の妻が元SKDのトップスター風間水希、そして第七の妻になる、第六の妻が死ぬことを心待ちにしている少女をSPACの美加理が演じた。彼女はこの芝居の初演で、双子の少女アリスとテレスの片方を演じて、それが彼女の初舞台だったのだ。ほかに元天井桟敷の蘭妖子、福士惠二。このほか総勢28人のキャストが、このファイナル公演をひたすら盛り上げて、テラヤマワールドの絢爛と底知れぬ闇の世界の輝きを放ったのだ。
寺山は、演劇の役とは、それを演じる俳優とは、その俳優の生活とは(第五の妻の家には高島屋の販売人がたまった衣装代の取り立てに連日来て、第五の妻は、いいわけに大わらわ)、その事実と虚構の狭間で生きる俳優、そして人間への問いを、その問いそのものを演劇化したのだ……。そして、その問い自体は永遠に新しい。流山児はそのことをしかと体感させるファイナルのミュージカルを創り上げて、この豊島区テラヤマプロジェクトを見事に終了させたのだ。
BY柾木博行(演劇評論家:シアターアーツ編集部)
「昨日見た流山児☆事務所のミュージカル『青ひげ公の城』、ちょっと予想していたのとは桁違いの面白さで、本当に素晴らしかった。
やはり主演の三人ー河原崎國太郎、毬谷友子、美加理の魅力を十分に引き出しているのが成功の要因ではあるが、終幕になると単なるメタシアターということを超えて、西武劇場での初演からこの作品に関わってきた美加理の個人史と溶け合い繋がり始める。
ついつい、美加理=宮城聰というイメージで考えがちだが、実はク・ナウカ以前の演劇活動が11年もある。この女優にとって10代後半からの11年の演劇活動は、その人生に大きな影響を与えていたに違いなく、その時に刻まれたものは今もその身体の芯に残っているのだろう。それを時々引き出して、若い頃に感じていた初心で演劇に向き合う手助けを時々流山児がやっているのかも。
そういうことを気づかせてくれたという点では流山児氏にも大感謝です。」
BY 山田勝仁(演劇評論家・日刊ゲンダイ)facebook評。
豊島区テラヤマプロジェクト「青ひげ公の城」
(作=寺山修司、演出=流山児祥、音楽=宇崎竜童)
18時45分。豊島公会堂前の小公園で豊島区テラヤマプロジェクト「青ひげ公の城」(作=寺山修司、演出=流山児祥、音楽=宇崎竜童)のミニ野外劇。流山児、岡島コンビに大久保鷹も加わり寸劇。劇中の台詞を集まった参加者が読み上げる。それだけでもなんだかジーンとくる。
19時開演。
一言でいえば「リスペクト」の舞台だった。
作者へのリスペクト、俳優へのリスペクト、豊島公会堂という劇場へのリスペクト。そして「演劇」へのリスペクト。 たった一度しか観る機会を持てなかったが、この舞台を観た記憶は永遠に残るだろう。
初演の「青ひげ公の城」を観たのは79年。雨の日だった。その雨の滴に塗れたパンフレットは今も田舎の部屋にある。寺山修司の舞台を観たのは「身毒丸」「観客席」につづく三作目。それだけに思い入れはある。
青ひげの第七の妻になるために劇場を訪れた少女ユディット。舞台監督に言われるまま、楽屋にいざなわれるが、台本は奪われ、抱えていたトランクもどこかへ消えてしまう。劇場と言う名の迷宮に放り出された少女の地獄めぐりの旅が始まる。
彼女の前に入れ替わり立ち現れるのは6人の妻たち。彼女たちが死ななければ少女は第七の妻にはなれない。
狂気と幻想、虚と実。やがて、少女の探し求めるものがこの劇場で行方不明になった兄だと分かるのだが……。
まず、キャスティングが絶妙。
第一の妻=伊藤弘子(流山児☆事務所)。第二の妻=河原崎國太郎(前進座)、第三の妻=山崎美貴(文学座)、第四の妻=関谷春子。第五の妻=毬谷友子、第六の妻=風間水希(元SKD)。衣裳係=蘭妖子、にんじん=福士惠二は元天井桟敷。舞台監督は大久保鷹。大久保鷹の起用、そして「少女仮面」の歌は寺山修司をリスペクトし続けた唐十郎への愛の返歌でもある。
ここ数年で大化けした伊藤弘子が狂熱と哄笑の花を咲かせ、風間水希はSKD時代を髣髴とさせる華やかなダンスで魅せる。生涯に一度、ブランチとジャンヌ・ダルクを演じたいという毬谷友子は大願成就、まさしく舞台に狂気艶麗の大輪が開く。山崎美貴は慎ましく健気なもの狂いの演技、関谷は美しさと艶っぽさ全開。國太郎の女形もあでやかで鮮烈な印象を残す。
初演のタイトルは「魔術音楽劇ーー」だったが、今回はイリュージョンもあり、それがまた素晴らしい出来。人間消失から空中浮遊まで、タネも仕掛けも分からない極上マジック。イリュージョンはV・銀太。これは特筆もの。
竹内陽子の衣裳も華やかでセクシー。関根麻帆ら、踊り子たちがまたキュート。
福士惠二の天井桟敷仕込みの身体表現を観られたことも僥倖。コッペリウスの塩野谷正幸のニヒルさ、不可解さの演技もゾクゾク。
しかし、なんといってもこの舞台最大のリスペクトは美加理の「復活」だ。
美加理は一時期、「セリフ」に自信を失い、「ことば」から遠ざかった。91年頃、美加理は「3年くらい前から、上演中の舞台で急にセリフを言ってる自分が恥ずかしくなり逃げ出したくなる衝動と不安にかられるようになった」と語ったことがある。
それ以降、美加理はセリフから距離を置き、言葉のないパフォーマンスへと向かった。
その美加理が因縁の「青ひげ公の城」で少女を演じ、10分以上にも及ぶ長台詞で舞台を締めくくった。
これを感動といわず何を感動というか。
「青ひげ公の城」はメタシアター、バックステージの変種でもあるが、演劇をめぐる演劇で一人の女優の20数年の軌跡が舞台に投影されたともいえる。これこそ、寺山修司の壮大な仕掛けとはいえないか。美加理のデビューは初演「青ひげ公の城」のアリスとテレスだ。35年後に寺山修司の虚構の城に少女として帰還。なんとドラマチックな!
今回の舞台は蘭さんが所持している上演台本に基づくもので、寺山著作集の戯曲とはだいぶ違っている。
観ている最中から万感胸に迫るものがあり、心の震えを抑えることができなかったが、実験性と娯楽性を兼ね備えたこの壮大な「演劇をめぐる演劇」をまとめあげた流山児祥もまた寺山リスペクトの最大の演劇人といえる。
で、本日千穐楽:30(日)14時のゲストは渡邊豊島区副区長&野口和彦(青蛾館)見逃しなく。オモシロイです。ふらりと池袋東口豊島公会堂まで!!
出演者・スタッフ一同待ってます。なお「劇」は13時50分中池袋公園から始まります。
で、前売情報。「残席僅少」上演時間2時間10分。
当日予約は11時まで、今すぐ予約を。当日券は13時より公会堂窓口で販売。
メチャ凄い「役者の饗宴」の傑作を見逃すな。
予約は→https://www.quartet-online.net/ticket/aohige2014?m=0abjgca … … … …
演劇定点◎カメラ BYねこ
「豊島公会堂閉館に伴う上演プロジェクト シリーズ最終。
【舞台】 一段高く、中央後方に重厚ドアのみとインパクト。上手端、ドア装置を隔てた仕事場に作家常駐。
【お話」劇場。青ひげの七番目の妻を演じる少女が、行方不明の兄を捜す。兄は実は殺されていて、
その犯人は。
エンタメと現実の鮮やかな対比が堪らない、醒めた夢幻劇。
ミュージカル仕立てで華やかにショーアップ。
女優達の生活と孤独を併行して、虚構に生きる業の深さを くっきりとよく描き。
月より遠いと望む気持ちを共感できるものとし。
狂っても冷静、「寺山修司」を一歩引いてみる視点を感じ。
ムードに流されない、実のある虚構性(表現変か?)は客席に及ぶ、虚実が一体となるラストに活き。
そしてなによりは輝く女優陣。中でも第一の妻・伊藤弘子の闊達、第五の妻、毬谷友子。
ベテランの自由さと変わらない愛らしさ。
第二の妻、河原崎国太郎の妖しさは濃くてご飯が欲しくなるほど。
なんと初演以来の美加理。変わらない彼女こそ夢のよう、「演劇の永遠性」と喜悦するねこ。
止まらない、止まらない、連日「当日予約」がどんどん伸びて、本当に予想を超える多くのお客さんが豊島公会堂に詰め掛けている、豊島区テラヤマプロジェクトファイナル『青ひげ公の城』バンクーバーやニューヨークのお客さんまで来てくれた!!テラヤマ演劇はまさに世界演劇である。とってもステキな「劇評」も出ています。演劇評論家の今村修氏の的確なる分析。
残すはあと2日、3ステージ全力で爆走します!
というわけで、『青ひげ公の城』本日14時の回のゲストはテラヤマプロジェクト3回目出演の高野之夫区長!!夜19時の回はラサール石井さん!!
お見逃しなく。オモシロイです。ふらりと池袋東口豊島公会堂まで!!
出演者・スタッフ一同待ってます。
『青ひげ公の城』最新前売情報。
29(土)14時「余裕あり」
19時「余裕あり」
30(日)14時「残席僅少」ゲスト:渡邉浩司(豊島区副区長)・野口和彦(青蛾館
上演時間2時間10分。当日予約は開演3時間前まで。「劇」は10分前、中池袋公園から始まります。
今すぐ予約を見逃すな→https://www.quartet-online.net/ticket/aohige2014?m=0abjgca … … …
今村修氏(演劇評論家:朝日新聞記者):facebook評より。
演技に言葉に歌に踊りに音楽……。まさに総力戦。昨夜観た、豊島区テラヤマプロジェクト ファイナル「ミュージカル 青ひげ公の城」(作=寺山修司、演出=流山児祥)@豊島区公会堂は、解体を待つこの古い劇場の、末期を看取るにふさわしいシュールで猥雑な祭りとなった。
青ひげ公の第七の妻ユディットを演じるはずの少女(美加理)が劇場にやってくる。一癖ある舞台監督(大久保鷹)に楽屋に案内されるが、次々に怪しい人々や出来事が現れ、大事な台本とトランクを奪われてしまう。台本はこれから先の水先案内人。荷物が詰まったトランクは元の世界に戻るためのアンカー。その両方をなくした少女は、不在の青ひげ公と自らの出番を求めて、劇場という名のニセモノ地獄をさまよい始める。
彼女の前に次々と現れるのは第一から第六の妻。前進座の河原崎國太郎、一人芝居「弥々」の毬谷友子、文学座の山崎美貴、元SKDトップスター・風間水希、ミュージカルの新星・関谷春子、流山児★事務所の看板女優・伊藤弘子といった曲者・個性派ぞろいの配役が豪華だ。困惑し、翻弄される迷宮の旅の中から、次第にある事件が浮かび上がり、虚実はいよいよ混沌の様相を深めていく。
閉ざされた廃墟で繰り広げられる異形たちの饗宴。虚構と現実の混乱と逆転。そして中心の不在。後期寺山演劇のエッセンスが詰まった作品だ。一歩間違えば、観念に陥ってしまいがちな題材だが、流山児はこれを敢えて娯楽に徹した仕掛けで料理した。宇崎竜童の音楽は心地良く耳に残り、前田清美の振付は、シャープでコケティッシュでダイナミックだ。出演者も歌える役者を揃えた。大久保の味のありすぎる歌は別格としても、小劇場ミュージカルの歌唱もここまで来たかと感心する。特に伊藤と男優役の麻田キョウヤの歌の迫力には驚嘆した。人体消失など随所に仕込まれた、魔術的な演出にも目を見張る。
流山児は戯曲の改変にもためらわない。「レミング」や「奴婢訓」など、他の寺山作品の要素を引用し、戯曲にない出番やソングも盛り込む。改めて戯曲を読んでみたが、それらのサービス精神の発露が過剰感をもたらし、最後のモノローグへと転がっていくシンプルなダイナミズムを損なっている感もある。だが、そこは確信犯なのだろう。
ラスト近くでは、明らかに戯曲の指定を逸脱する演出も敢行した。虚構の迷宮が崩壊し、少女が新たな旅立ちをする重要な場面。それにより、場面のメリハリは後退した。だが、現実と虚構はもはやメリハリやドラマチックを許さないほど互いを浸食し合い、溶け合っている。
そんな時代のあられもなさを映す大胆なチャレンジとして、これは「あり」だと思った。
(敬称略)
当日予約がどんどん伸びて予想を超えるほぼ「満員」の豊島公会堂!大入りであった。『青ひげ公の城』6日目、芝居は快調に安定している、それでいて日々深化している。森崎偏陸さんの第8の妻もよかった。高取英、月船さらら、土井通肇、今村修さん、みなもとさん、亨、石橋、藤田といった知人友人も次々と観に来てくれている。さすがにプロジェクトファイナルである。それにしても新潟、福島、熊本、福岡と全国津々浦々はおろか海外からも豊島公会堂へ寺山演劇を観に来てくれている「現実」に感謝。この3年間の活動は決して無駄じゃなかった、「街と繋がる演劇」の「種」は蒔かれた。このムーブメントはきっと誰かが引き継いでくれると確信している。
きょうは曇り空だが雨は降ってねえ、本日も夜公演。
あと3日間4ステージ、ぶっ飛ばしてゆこうぜ!
本日:28(金)19時は「大いに余裕あり」です。
ぜひ、ふらりと、18時45分、中池袋公園においで下さい。待ってます。
『青ひげ公の城』残り4ステージの豪華ゲスト陣!
28(金)19時:村井雄(開幕ペナントレース)
9(土)14時:高野之夫(豊島区長)
29(土)19時:ラサール石井
30(日)14時:渡邉浩司(豊島区副区長)・野口和彦(青蛾館)
『青ひげ公の城』最新前売情報:
28(金)19時「超大いに余裕あり」
29(土)14時「大いに余裕あり」、19時「余裕あり」の超おススメステージ。
30(日)は「残席僅少」
上演時間2時間10分。当日予約は開演3時間前まで。
今すぐ予約→https://www.quartet-online.net/ticket/aohige2014?m=0abjgca … …