流山児★事務所創立35周年記念公演『赤玉★GANGAN』(作:秋之桜子、演出:高橋正徳、芸術監督:流山児祥)無事終幕しました。
本当に、多くのお客様のご来場に、あつく御礼申し上げます。
今後とも、流山児★事務所をよろしくご贔屓の程、お願します。また、劇場でお会いしましょう。
なお、体調不良で降板した劇団員の谷宗和も昨日、元気に!現場に復帰したことをご報告します。ご心配をおかけしました。
流山児★事務所 2019年8月27日
撮影:横田敦史



演出家:才目謙二さんの素敵な「劇評」。有難うございます。
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かつて萩原朔太郎は「明治の青年は「詩」に酔い、大正の青年は「観念」に酔った」と言った(『帰郷者』)。
関東大震災(1923年9月1日)の前後、大逆事件から社会主義者弾圧、甘粕大尉ら憲兵隊による大杉栄、伊藤野枝らの虐殺、朝鮮人虐殺、軍部の暴走、開戦へ至る時代の大変化の中で、青年は何を考えたか。
本作『赤玉★GANGAN』は、大震災の一年後、帝都の片隅で細々と暮らしつつ、小説家や新聞記者、レコード歌手になることを夢見る青年たちの群像劇である。 その副題「芥川なんぞ、怖くない」に、作者:秋之桜子(女優・山像かおり)さんの視点があった。
登場する青年や学生たちは革命思想への心酔もなく、欧米由来の「観念」に酔うこともない。ウソの震災供養で小銭を募ったり、「赤玉ポートワイン」のポスターに興奮したり、つまじい日々の暮らしを送っている。
並行して描かれる成金の男爵家では、その奥方が「真珠夫人」(菊池寛)よろしく、隣家に避難してきた芥川龍之介を衣擦れの音で誘惑する日常だ。
シルエットの芥川龍之介は夫人の浮気対象に過ぎず、「天才と狂人の間」と言われる当時の先鋭的な文学者の運命は描かれない。忘れられた作家、島清こと島田清次郎への秋之さんのオマージュ(芥川との比較作家論として)は感じ取れたが、劇は、芥川を自殺に追いやり、その3年後、島清を精神病院で狂死させた「世間」の側にあって、あくまでその中での成功を夢見る青年たち(表現者たち)を描く。
これが劇作家の巧緻な戦略であったことに観劇直後は思い至らなかった。しかし、それこそ私の観念的な思い上がりではなかったろうか。
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劇作家・秋之桜子さんは大正時代の青年群像を描いたのではなかった。過去に材を求め、徹底して「現代の青年たち」を描き、夢を抱けとエールを送っているのだ。
朔太郎は「現代の不幸は新しい時代に(…)青年が夢を持たないことである」と喝破する。「過去の迷夢から目覚め、日本の現実、社会と文化を認識した小市民・小常識人たる青年こそ、次の時代の文化と社会を正しく創造する使命者」(萩原朔太郎『帰郷者』の文を編集)なのだ。
「新しい時代を創る表現者たち」の覚醒を促す。
だから「芥川なんぞ、怖くない」のだ。怖がっていちゃいけない、今を生きろ、と。・
劇は歌あり、踊りあり、アコーディオン演奏と歌唱は情念に直接響く。場面転換も速く疾走感あふれる舞台だ。モノトーンな美術や照明も美しい。そこに秘めた、劇作家と演出の高橋正徳氏の知的な挑発にぜひ乗ってみてほしい。
演劇ジャーナリスト:山田勝仁氏の「劇評」が掲載されました。ありがというございます。
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下北沢ザ・スズナリで流山児★事務所「赤玉★GANGAN〜芥川なんぞ、怖くない〜」(作=秋之桜子、演出=高橋正徳、芸術監督=流山児祥)
軍部台頭、ファシズムの時代が目前に迫る中、大正デモクラシーというつかの間のベル・エポックを謳歌する若き文学青年たちの恋と文学と懊悩の群像劇。
舞台は関東大震災後、4万人が死んだという被服廠跡など震災の被災地を案内して回る震災興行に精を出す作家の櫻庭一男(井村タカオ)とその弟で吃音の三男(今村洋一)ら。櫻庭は震災後、書くべきものを見失い酔狂ともいえる「観光案内」に手を染めているのだ。
一方、葵吉兵衛男爵(上田和弘)の屋敷では男爵の妻・涙美子(山像かおり)の庇護の下、芥川龍之介が逗留してる。
さらに、もうひとり、震災のショックで九州に帰郷していた古賀八重(坂井香奈美)が新聞記者になるため、男装姿で上京してくる。
菊池寛の起こした文藝春秋が雑誌メディアとして脚光を浴び、社会の公器としての新聞も民衆のメディアとして興隆。そして芥川龍之介や菊池寛、谷崎潤一郎、武者小路実篤、島田清次郎らが若い文学者から崇敬されている時代。
一見交わることのない若者たちの物語が時代の軋みに抗うように徐々に交差していく。
役者としては出演してるが、作家として今回流山児☆事務所に初参加の秋之桜子こと山像かおりの文学DNAが物語の底流にある。
いつの時代でも変わらない若者たちの息吹と不気味な胎動を響かせる時代のうねり。スピーディーな場面転換、セリフの応酬のテンポのよさ。文学座・高橋正徳の演出は猥雑かつポップ。焦点が当てられた人物が躍動する。
しっとり色香の山像、大正時代にあったキックボードを乗り回すちゃきちゃきの娘・瑠衣子役の山丸莉菜、男装姿も凛々しい坂井、女中頭ヨネの平野直美など女性陣があっけらかんと時代に立ち向かう強さを持っているのに、男たちの軟弱さは今と同じ。アコーディオン抱えて歌う今村の美声。急遽代役で参加した井村タカオはメインキャストだけに大変だっただろうけど、さすがの芸巧者ぶり。ほかに武田智弘、山下直哉、中島歩、永澤洋、奥田一平、玉木惣一郎。
劇中で語られる「地上」の島清こと島田清次郎は亡くなった浅川マキさんの同郷。マキさんが逢う度にいつも島清のことを話してくれたものだ。
それにしても、大正デモクラシーからファシズムへ。それは戦後民主主義の「終焉」を予感させる今の時代とぴったり重なる。 「二度目は喜劇」にならないようにしないと…。
連日「満員」爆走で愈々、本日千穐楽です。
本日:27(火)14時開演「残席僅少」
※当日券・キャンセル待ちは13時より劇場にて発売。
★流山児★事務所創立35周年記念公演★
『赤玉★GANGAN』
作:秋之桜子 演出:高橋正徳 芸術監督:流山児祥
8月21(水)〜27(火)@下北沢ザ・スズナリ
※上演時間1時間45分
★是非、ご覧ください!
※予約はhttps://www.quartet-online.net/ticket/201908ryuzanji…まで
撮影:横田敦史

【最新前売状況】
『赤玉★GANGAN』
作:秋之桜子 演出:高橋正徳 芸術監督:流山児祥
8月21(水)〜27(火)@下北沢ザ・スズナリで絶賛上演中です。
※上演時間1時間45分
まだまだ「残り余裕アリ」です。
ふらりと、下北沢までおいで下さい。オモシロい芝居です。
当日券は開演1時間間より劇場にて発売します。
21(水)19時 × (満員札止め)
22(木)19時 △ (当日券をお求めください)
23(金)14時 〇 (余裕アリ)
24(土)14時 〇
19時 ◎(大いに余裕アリ)
25(日)14時 △
26(月)14時 ◎(大いに余裕アリ)
19時 〇
27(火)14時 ◎(大いに余裕アリ)
※予約はhttps://www.quartet-online.net/ticket/201908ryuzanji…まで。

超満員札止めで『赤玉★GANGAN』幕を明けました・
本日:2日目 ふらりとスズナリまでおいで下さい。
※当日券は開演1時間間より劇場にて発売します。
★流山児★事務所創立35周年記念公演★
作:秋之桜子 演出:高橋正徳 芸術監督:流山児祥
8月21(水)〜27(火)@下北沢ザ・スズナリで絶賛上演中です。
※上演時間1時間45分
※まだまだ「残りステージ余裕アリ」
ふらりと、下北沢までおいで下さい。オモシロい芝居です。

秋之桜子(西瓜糖):新作書下ろし、高橋正徳:演出
流山児★事務所公演『赤玉★GANGAN]〜芥川なんぞ怖くない』@スズナリ 本日:21(水)19時 初日の幕が開きます。
是非ご利用ください。出演者・スタッフ・劇団員一同お待ちしています。
8月21(水)〜27(火)@ザ・スズナリ
◎他のステージはまだ「余裕アリ」です。
※前半22(木)・23(金)・24(土)夜がオススメです。
★予約はお早目に⇒
[流山児祥扱い 予約フォーム]
https://www.quartet-online.net/ticket/201908ryuzanji…
撮影:横田敦史



流山児★事務所の新作『赤玉★GANGAN〜芥川なんぞ怖くない〜』は、13人の素敵な役者達の競演です!!
出演:山像かおり・井村タカオ・今村洋一・中島歩・永澤洋(花組芝居)・奥田一平(文学座)・玉木惣一郎
上田和弘・平野直美・坂井香奈美・武田智弘・山下直哉・山丸莉菜
愈々、明日:21(水)19時初日!!
秋之桜子(西瓜糖):新作書下ろし 高橋正徳(文学座):演出
流山児祥:芸術監督
8月21(水)〜27(火)@ザ・スズナリ
※まだ「全ステージ余裕アリ」です。
※前半21(水)〜23(金)がオススメです。
予約はお早目に!!
[流山児祥扱い 予約フォーム]
https://www.quartet-online.net/ticket/201908ryuzanji…
撮影:横田敦史

流山児★事務所8月公演『赤玉★GANGAN』
@スズナリ 本日絶賛舞台仕込み中!
秋之桜子(西瓜糖):新作書下ろし 高橋正徳(文学座):演出
流山児★事務所8月公演「赤玉★GANGAN」
8月21(水)初日〜27(火)@ザ・スズナリ
※まだ「全ステージ余裕アリ」です。
※前半21(水)〜23(金)がオススメです。
予約はお早目に!!
[流山児祥扱い 予約フォーム]
https://www.quartet-online.net/ticket/201908ryuzanji…
撮影:横田敦史

急遽、谷宗和の代役で参加してくれている井村タカオが快調に舞台で泳ぎ始めた。そんな、井村が坂口安吾に見えてくる稽古場である。
それにしても「赤玉★GANGAN」初通し、オモシロかった。
関東大震災後の無名のブンガク青年たちの活劇ロマン。戦後の黒澤映画に通底する「無名の生々しいニンゲン」の湧き上がる熱、匂い、汗、「生」への渇望。
私たちは「今、ここに生きている」を、感じさせる芝居に進化=深化してゆく。
緻密に、が、メチャ暴れようぜ!
流山児★事務所8月公演「赤玉★GANGAN」
8月21(水)初日@ザ・スズナリ
[流山児祥扱い 予約フォーム]
https://www.quartet-online.net/ticket/201908ryuzanji…
撮影:横田敦史
