公演情報

流山児★事務所公演
『叛乱のオペラ〜喜劇阿部定1936〜』

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原作⦿岸田國士「風俗時評」、佐藤信「喜劇阿部定」、伊藤裕作「短歌阿部定」ほか

構成・脚色・演出⦿流山児祥

音楽⦿諏訪創

振付⦿小林真梨恵(waqu:iraz)

Space早稲田にて、
2024年7月20日開幕!

公演詳細

 

ご予約
(流山児祥扱い)
 

 

流山児★事務所
2023年度 新人募集
劇団で活動することに興味がある人を募集します。

【募集人員】
6名 (俳優・スタッフ・制作)
18歳以上35歳未満。
国籍不問。心身ともに健康な男女

【第一次審査:書類選考】
以下を流山児★事務所まで郵送してください。
(1)履歴書(連絡のつく電話番号とメールアドレスを記載のこと)
(2)写真1点(バストアップ)
(3)作文「流山児★事務所に入団してやりたいこと」(400字程度)


【第二次審査:実技・面接】
書類選考通過者のみ、連絡いたします。
※実技審査料3,000円は当日持参のこと。
※スタッフ・制作は面接のみ(無料)です。

【入団後の活動】
流山児★事務所の活動に準じていただきます。
優秀な新人は劇団公演、海外公演などに参加できます。

【お問合せ・応募先】
流山児★事務所 新人募集係
〒162-0045 東京都新宿区馬場下町60番地 まんしょん早稲田307
TEL:03-5272-1785(平日13時〜17時)
E-MAIL:mail@ryuzanji.com

情報詳細
CD/DVDを買う
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続々オールド・バンチ〜カルメン戦場に帰る〜 DVD
「オールド・バンチ〜復讐のヒットパレード!〜」「続々オールド・バンチ〜カルメン戦場に帰る〜」DVD発売中!
その他公演パンフレットなど
 ≫詳しくはこちら
【様々なる劇評ーその1】TWITTERより

●天野さんのお芝居ってオーケストラ観てるみたい。一人一人が楽器で、音やリズムがピッタリきてゾクっとなったり。人間とか意味とか以前の音とか光とかがなんだか懐かしくて。皆がステージで声をあわせ、一緒に踊る。誤解されるかもしれないけど、学芸会がそのまま大人になったような。
(しりあがり寿:漫画家・作家)

●流山児★事務所「ヒme呼」拝見。冒頭に続く歌踊りに口あんぐり。コロナを「恋」に置き換えた設定から、戦争を巻き起こした「恋」が、地球の連鎖を作り上げる寓意!感染対策を劇中に割り込ませる演劇的な企てが面白く、己れの来し方も晒す巧みさに感服!山像嬢の何でもあり!は、つまり愛されてるよね!
(加納幸和:花組芝居)

●面白かったぁ〜〜〜!
大人たちが舞台を縦横無尽に遊び回り、
みんな楽しそうで、
こっちもうっかり舞台に上がっちゃいそうで、
ちょっとうるっと感動しちゃったり、
最高に楽しい時間でした!
流山児★事務所、本当にいい劇団だなぁ。
(みょんふぁ:女優)
●流山児★事務所「ヒme呼」観劇 コロナを正面から受け止めてその騒動を別角度から 軽妙な語り口だけどまだ身近過ぎて生々しさも それはちゃんと換気したり隙間の多い客席にも… でも、歌あり踊りありのしりあがり&天野ワールド全開で楽しかった。 どんな時でも楽しむのも大事。(awesomenovski)
●流山児★事務所「ヒme呼」を観劇してきましたーーー。ものすごいパワー!!!最初から最後まで圧倒されました。その中でも山像かおり姐さんのすさまじいパワフルなお芝居は最高です。
歌あり、踊りあり、換気対策あり、小劇場の今の全てを体感させていただきましたーーー(宮本崇弘)

●流山児★事務所「ヒme呼」。しりあがり寿×天野天街の組み合わせが見られる時代に生きてて良かったなぁ。卑弥呼見たことないけど、山像さんのキュートな卑弥呼は、すごく卑弥呼でした。日下部そうさん、どんな役でどんな台詞でも説得力があって、本当に大好きで尊敬する俳優さんだとあらためて思います。
(津田修平)

●カオスのエンタメ!怒涛の言葉づくし、紡がれる言葉、言葉が投影と重なってマジック、流山児先生の換気タイムで、あっという間の2時間10分。火水木から恋〜SDGsに結ぶ妙味。山像さん、空気を鷲づかみ、強烈でした!
(はちみつくん)

●流山児事務所テイスト満載の、ハチャメチャ感ありつつの、でも普通に流れも押さえられて観やすかったです。 同性愛ネタ?どう捉えるべきか、微妙。 後半の炸裂する辺り、グイグイ背中押してくれる感じに、勝手に元気を貰いました。
(goldenfish)

●壮大な世界観とストーリー、熱量もあって盛り沢山なのに押し付けがましくなく、じんわり伝わる感じが心地よくてまさに露天の温のよう。不思議な感覚でした。山像さんの卑弥呼さま、面白可愛かった。ちゃんとLALISAムーブも堪能。
(藍川メリル)
2021-10-03 21:51 この記事だけ表示
【様々なる劇評ーその1】TWITTERより

●天野さんのお芝居ってオーケストラ観てるみたい。一人一人が楽器で、音やリズムがピッタリきてゾクっとなったり。人間とか意味とか以前の音とか光とかがなんだか懐かしくて。皆がステージで声をあわせ、一緒に踊る。誤解されるかもしれないけど、学芸会がそのまま大人になったような。
(しりあがり寿:漫画家・作家)

●流山児★事務所「ヒme呼」拝見。冒頭に続く歌踊りに口あんぐり。コロナを「恋」に置き換えた設定から、戦争を巻き起こした「恋」が、地球の連鎖を作り上げる寓意!感染対策を劇中に割り込ませる演劇的な企てが面白く、己れの来し方も晒す巧みさに感服!山像嬢の何でもあり!は、つまり愛されてるよね!
(加納幸和:花組芝居)

●面白かったぁ〜〜〜!
大人たちが舞台を縦横無尽に遊び回り、
みんな楽しそうで、
こっちもうっかり舞台に上がっちゃいそうで、
ちょっとうるっと感動しちゃったり、
最高に楽しい時間でした!
流山児★事務所、本当にいい劇団だなぁ。
(みょんふぁ:女優)
●流山児★事務所「ヒme呼」観劇 コロナを正面から受け止めてその騒動を別角度から 軽妙な語り口だけどまだ身近過ぎて生々しさも それはちゃんと換気したり隙間の多い客席にも… でも、歌あり踊りありのしりあがり&天野ワールド全開で楽しかった。 どんな時でも楽しむのも大事。(awesomenovski)
●流山児★事務所「ヒme呼」を観劇してきましたーーー。ものすごいパワー!!!最初から最後まで圧倒されました。その中でも山像かおり姐さんのすさまじいパワフルなお芝居は最高です。
歌あり、踊りあり、換気対策あり、小劇場の今の全てを体感させていただきましたーーー(宮本崇弘)

●流山児★事務所「ヒme呼」。しりあがり寿×天野天街の組み合わせが見られる時代に生きてて良かったなぁ。卑弥呼見たことないけど、山像さんのキュートな卑弥呼は、すごく卑弥呼でした。日下部そうさん、どんな役でどんな台詞でも説得力があって、本当に大好きで尊敬する俳優さんだとあらためて思います。
(津田修平)

●カオスのエンタメ!怒涛の言葉づくし、紡がれる言葉、言葉が投影と重なってマジック、流山児先生の換気タイムで、あっという間の2時間10分。火水木から恋〜SDGsに結ぶ妙味。山像さん、空気を鷲づかみ、強烈でした!
(はちみつくん)

●流山児事務所テイスト満載の、ハチャメチャ感ありつつの、でも普通に流れも押さえられて観やすかったです。 同性愛ネタ?どう捉えるべきか、微妙。 後半の炸裂する辺り、グイグイ背中押してくれる感じに、勝手に元気を貰いました。
(goldenfish)

●壮大な世界観とストーリー、熱量もあって盛り沢山なのに押し付けがましくなく、じんわり伝わる感じが心地よくてまさに露天の温のよう。不思議な感覚でした。山像さんの卑弥呼さま、面白可愛かった。ちゃんとLALISAムーブも堪能。
(藍川メリル)
2021-10-03 21:50 この記事だけ表示
連日満席好評上演中の『ヒme呼』愈々、本日:14時千穐楽です!

★しりあがり寿×アマノテンガイ×流山児★事務所★
 異才のコラボレーション『ヒme呼』見逃すな。
◎当日券は開演1時間前、13時より劇場で発売します。

★流山児★事務所2021秋公演★
しりあがり寿:新作書下ろし
天野天街:脚色・演出
流山児祥:芸術監督
『ヒme呼』
本日:3(日)まで@下北沢ザ・スズナリで絶賛上演中。

※上演時間:2時間10分

※10月19(火)から2週間の「映像配信」を行います。
ぜひ、おたのしみください。
2021-10-03 10:17 この記事だけ表示
昨夜は、作家演出家プロデューサーによるアフタートーク。
さて、後半戦に突入、残り4ステージです。
台風16号は今後、関東地方に最接近し、首都圏でも土砂降りの雨が予想されている、
強風による交通機関への影響にもご注意してください。そんな荒天の8日目です。

『寺山修司ー過激なる疾走―』に続いて「全ステージ前売完売」での上演。
緊急事態宣言が開けたが客席はほぼ半分での上演を続けます。
この時期、より、お客様に安心して芝居を観ていただくために最大限、わたしたちは心がけるべきだと思っています。
それにしても、劇団を支えてくださるお客さんに大感謝です。

★しりあがり寿×アマノテンガイ×流山児★事務所★
 異才のコラボレーション『ヒme呼』
◎当日券・キャンセル待ちは開演1時間前、劇場で発売します。

★流山児★事務所2021秋公演★
しりあがり寿:新作書下ろし
天野天街:脚色・演出
流山児祥:芸術監督
『ヒme呼』
10月3(日)まで@下北沢ザ・スズナリで絶賛上演中。
※上演時間:2時間10分

※10月19(火)から2週間の「映像配信」を行います。
ぜひ、おたのしみください。
2021-10-01 11:27 この記事だけ表示
これまた、素敵な中山精一氏の「劇評」
流山児★事務所「ヒme 呼」
作:しりあがり寿 演出:天野天外 芸術監督:流山児祥

時事ネタ満載の「恋する」漫画家「しりあがり寿」さん作、戦国の「オケハザマ」から古代の「卑弥呼」の時代へワープ! 場面展開の妙、ダンス、歌、音楽、そして「映像」を駆使して、テンポの良いスベクタクル。

ご贔屓の山像かおりの関西のおばさんで、卑弥呼役。問題である、関西弁の卑弥呼が登場したら、邪馬台国は「関西」になるじゃないの。(笑)  先の見えないコロナ禍で自粛してたら流山児ではない。アナーキーで、破天荒な寓話劇!

(あらすじ)
とある田舎の温泉、卑弥呼の湯、その温泉に入れば二人の愛が永遠になるといわれている「縁結びの湯」でもある。訪れたカップル(甲津拓平・山丸莉菜)に、宿の女将さん(山像かおり 卑弥呼と二役)がこの温泉の魅力を語りだすと…卑弥呼の時代にタイプワープ! そこは古墳で、急な病で死んだ女王・卑弥呼の葬儀が行われていた。女王亡き後、三つの部族が対立していたのだが、異民族の男女二人が卑弥呼と似た症状になる。 (以上)

面白いのは、ヒme 呼は、3つの部族のまとめ役、それぞれの部族は、火(ひ)の部族、水(み)の部族、呼(木)の部族と五行思想? (後で詳しく)。卑弥呼が伝染病で亡くなると、三つ(密?) ホムラ(塩野谷正幸)、フチ(佐野陽一)、モク(伊藤弘子)は、通夜の場で国を維持するための協議を重ねるが、・・・・。

→ 面白いのはドイツ政治 メルケル=卑弥呼が引退すると・・・。信号連立か、ジャマイカ連立かで大揉めで、協議を重ねる。@SPD(赤)+緑の党(緑)+FDP(黄)による「信号連立」か、ACDU・CSU(黒)+緑+黄による「ジャマイカ連立」。いやはや、スズナリと同じ展開?
卑弥呼に死をもたらした「恋のヤマイ」、それが猛威を振るい始める。それまでは、部族内で恋をしらずにセックスして、子作りしか知らなかった人びとが目覚めてしまった。

流山児の熱いメッセージは、「不合理な力」=恋、愛ではない。「分断」、「因習」乗り越えよう。卑弥呼は新しい価値観で世の中をぶっ壊していく。

 途中、流山児の「歓喜ではなく、換気タイム」が良い。何故か、体制にオモネル姿を見せるところが何とも言えず、皮肉であり、アナーキーさが見え隠れ。歌が素敵!

 また、「デモクラシイタケ」というキノコ人間(甲津の二役)が現れて、人びとに幻覚をもたらし、行動を促していく。アドリブと思えるようなコネタの連発、言葉遊び。

 最後は、五行思想か?
 水と火は相克(対立関係)、そこに木が入ると、水生木(水は木を産む)、木生火(木は火を産む)という相生の関係になり、対立は収束していく・・・。なんか、素敵な結末!


2021-10-01 00:40 この記事だけ表示
昨日は下北沢ザ・スズナリで流山児★事務所 公演「〜 ひ み こ 〜ヒ me 呼」(作=しりあがり寿、演出=天野天街、芸術監督=流山児祥)

「真夜中の弥次さん喜多さん」のしりあがり寿+天野天街コンビが作ってきた異世界演劇に新たな歴史が加わった。
 これこそ世界中どこにもない演劇、どこにもないミュージカルだ。
 コロナで鬱々とした2年間の滓もこれ一本で晴れやかに吹き飛んだ。
 最高におバカでヒューマンで演劇愛に満ちた舞台。天野天街は人間国宝にすべきだ。

 秘湯温泉への旅行とシャレ込んだ年の離れたカップル(山丸莉菜・甲津拓平)。
ところが、訪れた宿の女将(山像かおり)が案内した卑弥呼温泉は枯渇し一滴の温泉もない。
しかし、そこに祀られている卑弥呼の墓が二つに割れるとそこから古代に通じ、1800年前の卑弥呼の世界に。
そこでは火(ひ)、水(み)、木(こ)の一族が卑弥呼に統べられて平和に暮らしていた。しかし、卑弥呼が感染症で没したことから3つの部族が次の指導者の座を巡って互いに譲らぬ争いに。
それぞれの長所を主張し合うのだがラチが開かない。
しかも入口が崩れ、岩でふさがれてしまったことから3つの部族は洞窟の中に閉じ込められてしまう。
密閉空間の中で、3部族の間にある感情が芽生え…。

山丸・甲津の二人が浴衣姿でうろうろする冒頭から頬が緩みっぱなし。山像卑弥呼の登場でクッククックと声を出して鳩笑い。唐突な全員の岩運び、大盆踊り、そして流山児登場で大爆笑。笑いの質がケタ違い。メチャメチャ面白い。

3部族の族長(火=塩野谷正幸、水=佐野陽一、木=伊藤弘子)とそれを取り巻く民の濃いこと。
しかもただのナンセンスではない。コロナ禍の現代の世相を反映し、分断された時代閉塞の状況や環境問題、LGBT問題などが織り込まれ、それらを解決する人間存在の究極の「LOVE」を描いていく。「愛より恋」。
これこそ清志郎の「愛し合ってるかい!」の演劇バージョン。愛<恋こそすべて。こんな単純なことを忘れている私たち。
泣ける。

換気タイムでは流山児祥と塩野谷の本気とも冗談ともつかない「対決」の幕間劇。
「青学全共闘副議長のあんたが演出者協会の理事長か。偉くなったもんだぜ。権力を否定したあんたが権力になって嬉しいかよ」「ニコニコして客に媚びてるんじゃないよ」 塩野谷の辛辣な物言いに防戦一方の好々爺流山児。ニコリともしない塩野谷のクールさと目を白黒の流山児。昔からの盟友同士のきついシャレに大笑い。

 実像に映像を重ねて同期させたり、天野マジック全開の演出に加えて、今回は新たなループ演出が加わった。火、水、木の3部族がそれぞれ会話しているシーンでスポットが順番に当たるのだが、位置を変えて同じセリフを延々と話し続けるという新演出。同時多発に会話が起こっているのに、スポットが当てられた部族の会話に焦点が当てられ、ほかは多少声が小さくなるものの、耳には入ってくる。

 同時多発ループ会話シーン。
 これを考えた天野天街は天才だ。
 役者たちが皆、魅力的。

火族の女で次期卑弥呼と目されるイヨ役の山丸はすっかりヒロイン役が身に着いた。
同じく火族のパチ役、平野直美は押し出しのいい芝居と声の良さで芝居全体をぐいぐい引っ張った。こんなに魅力的な役者だったとは。
木族の長・伊藤弘子がいつにもまして凛々しく、笑いのセンス抜群。

 今回ゲストの山像かおりの早変わりの弾けっぷりもいい。流山児事務所と相性がいいかも。
 出番は少ないが出前持ち役の林周一が場をさらう。そして彼の作った卑弥呼人形がまた素晴らしいデキ。
 久しぶりに役者として舞台に出た小林七緒の水を得た魚っぷり。本格的なミュージカルはこの人、井村タカオ。もう少し歌を聴きたかった。
 最近の流山児事務所に欠かせない山下直哉がいい味出してるし、里美和彦、上田和弘、飯塚克之(風煉ダンス)、内山拓磨、日下部そう、荒木理恵、武田智弘……。役者力が総結集。甲津拓平の飄々とした佇まいがいい。

 音楽(諏訪創)、北村真実の振付もドンピシャ。美術(深川信也=発見の会)…スタッフワークも完璧。
 「面白さ」と「豪華さ」で大劇場のミュージカルにも引けを取らないどころか凌駕している。
 客席の小学生らしい女の子が転げるような笑い声。子どもが見ても楽しめるのは舞台の水準が高いということ。
 天野天街演出復帰公演として大大成功。

 換気タイム2回で2時間13分。流山児☆事務所にしては長いが苦にはならない。面白さとテーマの深さ、美しさに満点を。
 24日〜10月3日。
昨日は下北沢ザ・スズナリで流山児★事務所 公演「〜 ひ み こ 〜ヒ me 呼」(作=しりあがり寿、演出=天野天街、芸術監督=流山児祥)

「真夜中の弥次さん喜多さん」のしりあがり寿+天野天街コンビが作ってきた異世界演劇に新たな歴史が加わった。
 これこそ世界中どこにもない演劇、どこにもないミュージカルだ。
 コロナで鬱々とした2年間の滓もこれ一本で晴れやかに吹き飛んだ。
 最高におバカでヒューマンで演劇愛に満ちた舞台。天野天街は人間国宝にすべきだ。

 秘湯温泉への旅行とシャレ込んだ年の離れたカップル(山丸莉菜・甲津拓平)。
ところが、訪れた宿の女将(山像かおり)が案内した卑弥呼温泉は枯渇し一滴の温泉もない。
しかし、そこに祀られている卑弥呼の墓が二つに割れるとそこから古代に通じ、1800年前の卑弥呼の世界に。
そこでは火(ひ)、水(み)、木(こ)の一族が卑弥呼に統べられて平和に暮らしていた。しかし、卑弥呼が感染症で没したことから3つの部族が次の指導者の座を巡って互いに譲らぬ争いに。
それぞれの長所を主張し合うのだがラチが開かない。
しかも入口が崩れ、岩でふさがれてしまったことから3つの部族は洞窟の中に閉じ込められてしまう。
密閉空間の中で、3部族の間にある感情が芽生え…。

山丸・甲津の二人が浴衣姿でうろうろする冒頭から頬が緩みっぱなし。山像卑弥呼の登場でクッククックと声を出して鳩笑い。唐突な全員の岩運び、大盆踊り、そして流山児登場で大爆笑。笑いの質がケタ違い。メチャメチャ面白い。

3部族の族長(火=塩野谷正幸、水=佐野陽一、木=伊藤弘子)とそれを取り巻く民の濃いこと。
しかもただのナンセンスではない。コロナ禍の現代の世相を反映し、分断された時代閉塞の状況や環境問題、LGBT問題などが織り込まれ、それらを解決する人間存在の究極の「LOVE」を描いていく。「愛より恋」。
これこそ清志郎の「愛し合ってるかい!」の演劇バージョン。愛<恋こそすべて。こんな単純なことを忘れている私たち。
泣ける。

換気タイムでは流山児祥と塩野谷の本気とも冗談ともつかない「対決」の幕間劇。
「青学全共闘副議長のあんたが演出者協会の理事長か。偉くなったもんだぜ。権力を否定したあんたが権力になって嬉しいかよ」「ニコニコして客に媚びてるんじゃないよ」 塩野谷の辛辣な物言いに防戦一方の好々爺流山児。ニコリともしない塩野谷のクールさと目を白黒の流山児。昔からの盟友同士のきついシャレに大笑い。

 実像に映像を重ねて同期させたり、天野マジック全開の演出に加えて、今回は新たなループ演出が加わった。火、水、木の3部族がそれぞれ会話しているシーンでスポットが順番に当たるのだが、位置を変えて同じセリフを延々と話し続けるという新演出。同時多発に会話が起こっているのに、スポットが当てられた部族の会話に焦点が当てられ、ほかは多少声が小さくなるものの、耳には入ってくる。

 同時多発ループ会話シーン。
 これを考えた天野天街は天才だ。
 役者たちが皆、魅力的。

火族の女で次期卑弥呼と目されるイヨ役の山丸はすっかりヒロイン役が身に着いた。
同じく火族のパチ役、平野直美は押し出しのいい芝居と声の良さで芝居全体をぐいぐい引っ張った。こんなに魅力的な役者だったとは。
木族の長・伊藤弘子がいつにもまして凛々しく、笑いのセンス抜群。

 今回ゲストの山像かおりの早変わりの弾けっぷりもいい。流山児事務所と相性がいいかも。
 出番は少ないが出前持ち役の林周一が場をさらう。そして彼の作った卑弥呼人形がまた素晴らしいデキ。
 久しぶりに役者として舞台に出た小林七緒の水を得た魚っぷり。本格的なミュージカルはこの人、井村タカオ。もう少し歌を聴きたかった。
 最近の流山児事務所に欠かせない山下直哉がいい味出してるし、里美和彦、上田和弘、飯塚克之(風煉ダンス)、内山拓磨、日下部そう、荒木理恵、武田智弘……。役者力が総結集。甲津拓平の飄々とした佇まいがいい。

 音楽(諏訪創)、北村真実の振付もドンピシャ。美術(深川信也=発見の会)…スタッフワークも完璧。
 「面白さ」と「豪華さ」で大劇場のミュージカルにも引けを取らないどころか凌駕している。
 客席の小学生らしい女の子が転げるような笑い声。子どもが見ても楽しめるのは舞台の水準が高いということ。
 天野天街演出復帰公演として大大成功。

 換気タイム2回で2時間13分。流山児☆事務所にしては長いが苦にはならない。面白さとテーマの深さ、美しさに満点を。
 24日〜10月3日。
2021-09-30 23:18 この記事だけ表示   |  コメント 0

しりあがり寿の新作書き下ろしで、演出には天野天街(少年王者舘)を迎えた、流山児★事務所の公演『ヒ me 呼〜ひみこ〜』が下北沢のザ・スズナリで、2021年9月24日(金)に開幕した。

時代は古代。邪馬台国では、3部族が仲違いを繰り返していた。謎の感染症で卑弥呼が急死し、古墳では葬儀が行われている。しかし、とある事故で彼らは古墳の中に閉じ込められてしまい、外界から断絶された空間で、卑弥呼を死に至らしめた不可思議なウイルスに感染していく。部族間の抗争を描きながら、コロナ禍でさらに分断が進む閉塞的な現代をも映し出した本作は、そんな状況を打開するようなノンストップ・ナンセンスコメディになっている。

左から山像かおり、山丸莉菜 画像:流山児★事務所提供

開演のアナウンスが流れると、温泉旅館の女将(山像かおり)が若いカップルを連れて、秘湯「卑弥呼の湯」の説明をしている。湯に浸かれば永遠の愛が続くという。盛り上がる男女だったが、なんと台風の影響でお湯が枯れてしまったという。不機嫌になる彼女(山丸莉菜)は途端に口が悪くなって、彼氏(甲津拓平)への愚痴が止まらない! いまどきの女の子の悪いところをギュッと凝縮したような台詞が痛快だ。

他に彼女が喜ぶような施設がないか、女将に男が聞くと、女将が言うには、お湯の枯れた岩場にある木に触ると、卑弥呼の夢が見られると言う。この木に触れたカップルは古代へタイムワープしてしまうのだった。山像、山丸、甲津の軽妙なやり取りは疾風迅雷の勢いで会場中の笑いを誘い、舞台は卑弥呼の時代へ。

まず魅力的だったのは、パズルのピースのようにそれぞれが個性の違う輪郭を見せた、登場人物たちだ。キャラが濃い3部族の長(塩野谷正幸、伊藤弘子、佐野陽一)、トリックスターとして場を撹乱するデモクラシイタケ(甲津拓平)、不可解な動作を見せる卑弥呼(山像かおり)、たびたび狂言回しとして登場する流山児祥――。本作に主役はいないが、天野が「完全に当て書きした」という役者たちが演じるキャラクターたちは多層的に合わさり、舞台上で絶妙なシンフォニーを奏でていた。スズナリの床が抜けそうな力強いダンスと歌も圧巻だった。

左から佐野陽一(サスペンデッズ)、伊藤弘子 画像:流山児★事務所提供

次に期待してほしいのが、宴会のシーンだ。このシーンでは出演するほぼ全員のキャストが舞台の上で同時に喋っている。いくつかのグループに分かれていて、観客には会話のひとつだけが、鮮明にスポットで聞こえてくるのだ。そしてこのスポットは、点々と移動する。普通、人は自分が意識した音や視覚を限定してキャッチするように脳が情報処理しているというが、これを意図的な形で提示されて体験するのは刺激的だ。どういう仕掛けになっているのだろう。

そして天野演出であれば映像も見逃せない。中でもアーティスティックで幻想的な「木枠のダンス」は必見だ。

『ヒme呼』ゲネプロの様子 画像:流山児★事務所提供

さて、この物語の最大のポイントは、コロナと対比する形で恋の病が描かれていることだ。卑弥呼がかかった感染症の正体は「恋」。そもそも恋の概念さえなかった時代に、ひとりの心の中に生じた病が伝播し、相容れない性質の断絶した関係性を変えていく。

異なる部族の人間に触れれば相手にダメージを与えてしまう、火を司る「ヒ」族、水を司る「ミ」族、木を司る「コ」族。恋のウイルスは、思う相手を部族で選ばない。傷付けてしまっても、なお繋がろうとする。このウイルスは、結果的にこの三つ巴の抗争を融和へと導くが、恋の不合理な力は単純には部族間抗争を和解させてくれない。

火の部族・イヨ(山丸莉菜)と水の部族・イズミ(日下部そう)の舞は、無償の愛ではありえない、恋の矛盾をしなやかに表現していたので注目してほしい。

2人の恋の引力は時空間を歪ませてしまうのだろうか。冒頭にあった未来の設定をも変えてしまう。

全く性質の違う3部族がどのように融和へ向かい、その後、未来を変えるような化学反応を起こすのか。それは舞台を観て確認して欲しいのだが、この3つの才を描いた構図は、本作に集まったコラボレーションの図式にも当てはまる。異才が融合して核反応を起こし放った衝撃を、作品を通じ全身で浴びてみてほしい。(公演は10月3日まで。10月19日〜11月2日、アーカイブ配信あり)


『ヒme呼』ゲネプロの様子 画像:流山児★事務所提供

文:石水典子(ライター)

2021-09-29 18:06 この記事だけ表示
おはようございます。
5日目、今日は初の2ステージ。
集中して後半戦へ突入です。

稽古中の毎週PCR検査を終え、小屋入りし、3日目の公演を終え、抗原検査、昨日:全員陰性の結果を受けて
『ヒme呼』千穐楽まで突っ走ります。

アマノのチェック稽古の成果で昨夜は難関の箇所もクリア。
劇自体がよりスッキリしてきた。

去年8月の『寺山修司ー過激なる疾走―』に続いて「全ステージ前売完売」です。
チケットの問い合わせが殺到しているが、当日券かキャンセル待ちをお願いするしかない。
緊急事態宣言下、「半分の客席」での上演。とにかく、お客様に観ていただいている事実に大感謝です。

しりあがり寿×アマノテンガイ×流山児★事務所
異才のコラボレーション連日満員御礼の最新作『ヒme呼』見逃すな!

◎当日券・キャンセル待ちは開演1時間前、劇場で発売します。
ぜひ、スズナリまでおいで下さい。

★流山児★事務所2021秋公演★
しりあがり寿:新作書下ろし、天野天街:脚色・演出
『ヒme呼』
10月3(日)まで@下北沢ザ・スズナリで絶賛上演中。
※上演時間:2時間15分

※10月19(火)から2週間の「映像配信」を行います。
2021-09-28 09:08 この記事だけ表示
奇想、妄想、幻想が、ぶつかり合い、溶け合い、擦れ違って爆発する。一昨日はマチネで、流山児★事務所「ヒme呼」(作=しりあがり寿、演出=天野天街、芸術監督=流山児祥)@ザ・スズナリ。

先の見えないコロナ禍を嘆くくらいならいっそ、笑い飛ばしてしまおう、そして笑い飛ばすならその勢いで一歩を踏み出そう、という罰当たりで、アナーキーで、破天荒な寓話劇だ。「オケハザマ以来」顔をそろえた鬼(奇)才3人の遊び心が舞台に蔓延≠オ、客席にも感染≠キる。


訳あり風のカップル(甲津拓平・山丸莉菜)が女将(山像かおり)に誘われて秘湯「卑弥呼の湯」を訪れるところから劇は始まる。だが、お湯は先だっての台風で枯れてしまった。がっかりする2人が、「卑弥呼が夢に出てくる」木に触れたところで、舞台は一気に1600年前に飛ぶ。

そこは卑弥呼の巨大な墓の中。不思議な病で世を去ったばかりの卑弥呼(山像の二役)の葬儀が行われていた。粗暴で体育会系のヒ(火)族、理屈っぽい文化系のミ(水)族、道具大好き理科系のコ(木)族。陰陽五行の相剋よろしく決して仲の良くない3部族を曲がりなりにもまとめてきたのが卑弥呼だった。

残されたそれぞれの族長、ホムラ(塩野谷正幸)、フチ(佐野陽一)、モク(伊藤弘子)は、通夜の場で国を維持するための協議を重ねるが、そこに卑弥呼に死をもたらした「恋のヤマイ」が猛威を振るい始める。それまでは、部族内での特に深い想いのない子作りしか知らなかった人びとを襲ったヤマイは、国の形を次第に変えていく。

「恋のヤマイ」とコロナの周到な重ね合わせが笑いを誘う。一方で自然を形作る三つのエレメントの相剋は近年の異常気象、環境破壊を容易に連想させる。ドラマの中から立ち上がるメッセージは気恥ずかしいほどに真っ当でストレートだ。分断を乗り越え、古いしがらみを壊し、新たな価値観で、時代を超えて今ここにある困難を乗り越えよう。独断と偏見のそしりを怖れずに言えばこの熱くて真っ直ぐな作り手の思いを受け止めつつ、まずは彼らの遊び心の大暴走を全集中で受け止めるのが、この舞台の正しい♀マ方だろう。


賑やかな歌と踊りは元より、執拗な言葉遊びやくどいほどの小ネタの連発、現実の困難の相対化・戯画化、天野得意の場面の無限ループや、ノイジーな音響や映像イリュージョン、迫力の大道具や、思いっきりアナログなデジタル風小道具の数々……。

これに、野放しに見えて実はキッチリ計算された役者の動きが相まって、終幕の破れかぶれで能天気なカオスへとなだれ込んでいく。

唐突に現れる「換気タイム」の趣向のデタラメさ。これはもう異化≠フ極致だろう。

劇中、何の前触れもなく登場して人びとに幻覚をもたらし、行動を促すキノコ人間(甲津の二役)の名前が「デモクラシイタケ」であるところにも、作り手の控え目な、しかし強固な意志を感じて、ちょっと頼もしくも思った。(敬称略)
2021-09-27 14:54 この記事だけ表示
【最新前売状況】
流山児★事務所2021秋公演
しりあがり寿:新作書下ろし、天野天街:脚色・演出
『ヒme呼』
10月3(日)まで@スズナリで絶賛上演中。

※27(月)〜30(木)オススメです。予約はお早目に!
※当日券・キャンセル待ちは開演1時間前より劇場で発売します。

『ヒme呼』最新残席状況】
  26(日)14時△(残1)
  27(月)19時〇(残12)
  28(火)14時〇(残14)
     19時〇(残11)
  29(水)14時〇(残16)
  30(木)14時〇(残15)
     19時× しりあがり寿×アマノテンガイトークあり。
10月1(金)19時〇(残14)
  2(土)14時×
     19時×
  3(日)14時×
×:完売 △僅少 ○余裕アリ・・・・9月25(土)午後8時現在

※緊急事態宣言中は定員の「半分の客席」で上演します。
※上演時間:2時間15分
※10月19(火)から2週間の「映像配信」を行います。

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2021-09-25 21:18 この記事だけ表示