【そりゃねえだろ、シェイクスピアさんよ】
シアターRAKUの新作『から騒ぎ』半年間稽古の成果がココに来て出てきた。
『から騒ぎ』は、こんな「読み方」もあるんだぜ、って感じの現場になってきた。
昨夜、デヴィッド・ルヴォ―:演出、オーランド・ブルーム:主演の
『ロミオとジュリエット』のブロードウエイ版を観ていて思ったが、
シェイクスピアはどんな風にやってもいいのだ。
可愛いおっさんになったオーランドブルームがバイクに乗って登場する
「もろダサ演出」に客席では黄色い歓声が起こる。
映画『ウエストサイドストーリー』ばりの壁、燃える壁、分断されている世界。
芝居の感想は、「本火メチャクチャ使えて良いなあ」位かな?
大衆演劇の心地よさをルヴォ―もきっちりやってることには好感を持った。
ルヴォ-が未だにミーハーに攻めてる(TPT演出以降)のはイイことである。
リスペクトしたい。
ま、こちらは、平均年齢68歳の無名の身体のエロスとタナトスの群像劇である。
それにしても『から騒ぎ』はフェイクだらけの「大文字」の劇世界。
なんとも人間不在のモノ凄い戯曲(テキスト)にも思えてくるシロモノだ。
登場人物たちは、なぜか、いとも簡単に現代人の様に「フェイク情報」を信じ込んでしまう。
人の命より、男のメンツ、名誉といったハリボテが罷り通る世界。
でもって、『ロミ・ジュリ』と違い、『から騒ぎ」の利口な神父は、
同じ策略をとっても、こっちは見事に成功するという話。
ラストはめでたしめでたし。でも、これって、ホントかよ?が残る。
このテキストただの恋のドラマなんかじゃありません。
ニンゲンの愚かさと乾きが全編に漂い、不条理な乱痴気騒ぎが繰り返され、
「そりゃねえだろ、シェイクスピアさんよ?」が続出する。
大体、ジェンダーも、男女平等もへったくれもない。
ということで、そこは、長い間、「自由と民主主義」を求めて闘ってきた乙女たちと
、日々喧々諤々の「討論=コミュニケーション」取りながら、
日々精進のオモシロき現場である。
『から騒ぎ』は、登場人物たちの七転八倒の果てに浮かび上がる
「存在の虚無・虚偽・空虚感」の嗤える黒い喜劇になる。
MUCH ADO ABOUT NOTHING
※12月初旬、「3年ぶり」に流山児祥の大人のための演劇ワークショプ開催予定。
シアターRAKU新人オーディションも兼ねたワークショップです。
「入団希望の新人」は、必ず『から騒ぎ』を観てください。
募集人員:50歳以上の男女若干名。
稽古は12月から6か月間。土日稽古、本番前3週間連日稽古できる人。